夜空の奇跡

スイートポテト

0話 あらすじ(キャラクター紹介)

君は覚えてる?


あの日、夜の九時。消灯時間なのに6人で部屋を飛び出して、星空を眺めようと言った日のことを…


「なぁ!愛が居なくなる前に、俺、愛に星空を見せたい!!」


私が施設を出る7日前、流星はみんなにそー言ってくれたね。


「えぇ!?この前僕トイレに行こうとしただけでめっちゃ怒ってる顔してたよ?大丈夫かな?」


希望君はいつもみたいに、焦った様子で流星の腕に捕まってたね。あの時はすごく可愛かったよ。


「いいじゃん、いいじゃん!何事も挑戦だよ。やっちゃえ!日産!なーんつってね。」


蛍は本当にいつでもみんなのムードメーカー。何でも恐れずに飛び込む貴方を、私は今でも尊敬しています。


「そーだな。俺もそれがいいと思う。な、夢。」


「…ん」


叶君は口数が少ないけど、いつも夢お姉ちゃんのそばに居て、お姉ちゃんの想いを口にしてくれたね。お姉ちゃんが言葉を話せなくなっても隣にいてくれて…本当に2人はお似合いだよ。2人がいつかお互いの本当の気持ちが気づけばいいのにな…


「じゃあきまり!俺達星空バスターズで、今日の夜、星空を見に行くぞー!!」


流星の声に皆が賛同した…


いつもと変わらない日常。

残り少ない時間。

私はそんな日々の中で、ずっと流星を見ていた。

その後ろ姿はまるで暗い夜空から手を差し伸べてくれる流れ星の様だ。


流星がぼーっと5人を見つめる私の手をとった。


「愛!」


私の目を見ると彼は満面の笑みを私に向けた。


「6人で何があっても、ずっと一緒にいよ!そして未来で、愛は俺の…」


.☆.。.:.+.゚・*..☆星空バスターズ.。.:*・°.*・゚ .゚・*..☆


月日は流れ、ここは星空学園。

のそのまた森の奥深くにあるツリーハウス。

にわとりが朝の5時から叫び声を上げている。ツリーハウスからでてきた流星は、頭をかき、大きな欠伸を1つし、小屋の中へと入った。


「はぁ〜今日は俺が朝食当番かよ〜昨日買った参考書見てたら徹夜してたわ〜くっそ寝みぃ…」


にわとりに餌をやり、そっと静かに卵に手を伸ばすと、メスのニワトリが羽を大きく広げ、くちばしをつついて、襲いかかってきた。


「いって!コラ!お前ら大人しくしろ!!」


朝からボロボロになりながら卵を5つ手に持ち、ツリーハウスへと向かう。リビングにもどると、2階のドアが勢いよく開いた。


「おっはよーございまーす!このゆーめ様がお目覚めしましたー!!」


騒がしく階段をかけおり、夢は卵を見つめた。キラキラと目を輝かせ、ドルオタの衣装に早着替えする。


「りゅーせいくーん…今日は朝からオムライスなんて…めっちゃ楽しみですなぁ〜ドュふふ」


流星ははっと大きなため息をついた


「お前ほんとそれどっから出したの。つかいつ着替えたんだよ。」


「私の辞書に、不可能などない!!」


「話聞いてます?」


リビングが騒がしいせいか、いつの間にか叶は食卓に座っていた。


「流星また参考書買ったの?しかも今度のはオックスフォードで新しく進められてる新型デジタル機器の研究資料もあるじゃん。」


片手に本を持ち、ははっと笑う叶をみて、流星はフライパンを持ってチキンライスを焼いている。


「明後日オックスフォードの教授と、これからの世界のあり方について討論する番組にでるってだけだよ。」


夢は流星の言葉を聞くと、料理中の流星の顔を覗き込んだ


「しゅっごいねっ!流星、人気者ーヒューヒュー!」


「危ねぇ!!」


流星が夢から後ずさりすると、叶が形相な顔でこちらを見つめる。叶は夢にぞっこん…というより怖いくらいに好きすぎていつも夢の事になると過剰反応するのだ。


「…夢、叶とジョギングにでもいってきたら?」


そう言うと夢は嬉しそうに自分の部屋に飛び込み、ダンベルを8個体にまきつけた。


「よし!叶と一緒にジョギング行ってくる!!」


「いやいやいや!まてまてまてまて!お前その体につけてるのなんだ?」


流星が慌てて声をかけると、あっけらかんとした表情で夢は首を傾げていった


「ダンベル」


「ダンベル。じゃねぇよ!そんなん8個もつけたら、人体に影響が…」


「えーだってこれくらいしないと、叶の全力のペースと同じ位にならないんだもん…」


プーっと頬をふくらませ、リボン結びにした髪の毛を左右に揺らしている。流星が


「流石の夢でもこれは無理だって。体への不可がかかり過ぎてる。」


ダンベルを外そうとする流星の手を払いのけた。


「大丈夫だよー!だって私、天災!ですから。」


「いや!ちょっと待て!!お前、それりゆうになってねぇよ!!」


流星の叫び声も虚しく、夢は叶の手を引いてリビングを後にした。


大きなため息を着いていると、1階の部屋から着崩れた寝間着姿の美少年が起きてきた。


「なんの騒ぎ〜…?」


彼は食卓につくなり、のぺっと机に張り付いた。


「あぁ、おはよ。希望」


目を薄く開けると、制服に着替え始めた。

肌の白さや、色っぽい艶やかな唇。男子なのに反則級の滑らかな体の輪郭。女と言っても過言でない。流星は彼の姿を見て顔を逸らした。


「あの…希望さん…?着替えは部屋でしてください?」


「え…僕ら男同志…」


「いや、いつも言ってるけど、お前まじで色々とやばいから部屋行って着替えてくんね?」


「えぇ…1人は怖いよ…ねぇ、一緒に部屋に来て…?」


「あの希望さーん…?」


希望は流星の手を取った


「ねぇ…流星…僕の部屋にきて…?」


流星が希望の手を振り払おうとした時、後ろからシャッター音が聞こえた。そこには蛍がいた。


「あーあー、みーちゃったぁーみーちゃったぁー♡」


振り向くと制服姿の蛍はニヤニヤと笑いながらこちらに来た。


「やばいw世界一の天才高校生と絶世の美少年がほもだった〜ってインスタであげたら、世界中で大注目になりそう」


流星は慌てて蛍の携帯に手を伸ばした


「やめろぉ!お前があげたらまじでシャレになんねぇ!!」


そんな話をしていると、玄関の扉が音を立てて開いた。


「へ!?BL!?」


夢がダンベルを付けたまま流星の方目掛けてに猛スピードで走ってきた。


「お前はダンベルを外してこいいい!」


朝から全員で騒がしくしていると、玄関から施設長と、新人職員が来た。施設長は、すっと大きく息を吸うと、流星ら目掛けて叫んだ。


「あんた達!もー7時よ!!学校に行きなさい!!」


全員は慌てて服に着替え、食事を急いで駆きこみ、荷造りを終わらせた。家事を一通り終えると、外に飛び出していく。山を下る姿を見ながら、施設長が大きくため息を着いた。


「朝から騒がしくてごめんなさいね?」


新人職員は首を横に振ってニコリと笑った。


「いいえ。元気で何よりです」


施設長が片付いた机に座ると、顔つきの名簿表を見せた。


「ここ星空学園、星組は、第1期生たち4人と、ショートステイの佐野 竜也が過ごす施設です。彼らは自立した生活を営むため、自分たちで家事だけでなく、収入を得て、生活をしています。儲けたお金の3%がお小遣いとなり、後のお金は貯金や施設のアセスメント。外出などで使っております。」


施設長が流星を指さす。


「この子は私の息子。次期施設長として、星組の子と共に生活している、星野 空です。世界的にも有名な天才として名高く、最近では各国の番組にも討論しに出演しています。基本的にきつい口調でツッコミをしたり、時々変な踊りやら、指笛を吹いたりしますが、ちゃんと職員との連携の取れる子なので、万が一困った時は、彼に任せてください。」


新人職員がメモをとると、疑問を投げかけた。


「この、名前の隣に書いてある"流星"って言うのはなんですか?」


「これは彼ら5人組に、プラス1人を加えた"星空バスターズ"というチームの中で用いられる名前です。コードネームみたいなものですね。」


施設長は次に夢を指さした。


「彼女は身体的虐待を受け、入所した夏川 優希です。彼女はずば抜けた身体能力と、何にでも適用できる技術力を持っており、去年は流星と共に、新時代の指先だけでインターネットに繋がれる指輪を制作した子です。普段から元気よく活発的。突拍子もない事をしてのけてしまうため、見守りは要注意してみてください。」


新人職員が目を丸くして、プリントをマジマジと見た。


「この子があの有名な生きた災害。天災夢…でもどーして生きた災害なんて呼ばれているんですか?」


施設長は眉をひそめた。


「彼女には精神疾患が昔からあり、俗に言う多重人格と似た症状がまれに現れる事があるんです。」


「多重人格…?」


「えぇ。極度のストレスや、抑えられない苦痛があると、自我を失い、錯乱状態になるんです。」


新人職員がそれを聞くと、口を手で塞ぎ、顔を真っ青にした。施設長はたんたんと


「でも、流星が対処するので、その辺はお構いなく。」


それだけ伝えると、次は希望を指さした。


「彼は性的虐待を受け、入所した杉浦 大晴と言います。ちなみに希望と書いて、ヒカルと読んでいるため、コードネーム呼びする時は、ひかるくんと呼んでください。

彼は小さい頃から女として実父に扱われ、驚異的な美貌を持っています。故に老若男女問わずその美しさで虜にしてしまいます。性格も温厚で優しいこなので、あまり気にかけることは無いのです。しかし絶対に彼の血に触れたり、布団の処理を行う際は、手袋をしてください。」


施設長が別紙に彼の病名を見せた。


「彼は幼い頃の虐待の影響で、AIDSに発症しているため、感染を防ぐ為にも、彼の体液に触れる事がある場合には、絶対に手袋を使用してください。」


新人職員がメモをとると、縦に首を頷いた。

次に蛍を指さした。


「彼女はネグレクトで入所した坂口 秋乃です。現在世界的に人気を博しているアイドル。"蛍"という一面も持っています。そのためあまり施設には帰ってきません。実母、実父とは縁が切れているため、連絡はありません。彼女はムードメーカー気質であり、彼女が新しい遊びを提案したり、企画する事も多いので、皆からの信頼も高いです。特記事項もありません。」


新人職員がプリントを見て、ショートステイを指さした。


「どうして叶くんは、ショートステイなのにここで過ごしていると言うのですか?」


施設長はショートステイの紙から叶の家系図と別に、謎の家系図を出した。


「この子は前世の記憶があると言っています。日本の戦時中に生き残った兵士で、その時いた妻をとても愛していたそうです。戦時中に妻を亡くし、終戦後家に帰った時に彼女の仏壇に来世は幸せにすると近ったのだとか。そして今世で彼女を探すうちに、夢。つまり前世の嫁を見つけて、この施設にいたいと、本人から要望があり、ショートステイとして利用してます。週2日間家に帰りますが、ここでの生活は大体夢と一緒に行動しております。ただ、夢の事になると過剰反応し、職員への試し行動や、夢に対して害悪と見なしたものには、精神的攻撃を加えて辞める人も居たので、貴方も夢との関係には気をつけてください。」


新人職員は、手からペンがこぼれ落ちた。


「す、凄い事例ばかりですね…」


ははっと青ざめながら笑うと、施設長は窓の外を見ながら頬ずえをついた。


「大丈夫よ。あなたは唯一採用試験で夢に選ばれた子。あの子の心さえ掴めれば、完璧よ。」


そう言うと施設長は新人職員の肩に手を置いて、期待しているわと言って笑った。

新人職員が頷き、元気な返事を返すと、玄関のドアが開いた。


「さ、仕事の始まりよ。」



ーTo Be Continuedー


♪。.:*・゜♪。.:*・゜♪。.:*・゜

読んでくださりありがとうございました(*^^*)

今回は自己紹介という事で、彼らの日常の話を交えながら、書いていきました。


施設ってどーゆー所?どんな子が来るの?と、まだいまいちピンと来ていない人もいらっしゃるかと思います。

現在書いたように、(叶の様な事例はございませんが)様々な理由で入所される子どもさんがいると思います。(全てフィクションです。)それらの事例を元に、今後彼らがどう成長していくのか。はたまた親との関係の修復など、合わせて楽しんでいただけると幸いです。


次回は1話目。

ショートステイとして来る少年を、星空バスターズが本格的に解決していきます。どうか長い目で見ていただけると幸いです。



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