プロローグⅢ
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「月が綺麗だ」
視界には、真っ暗な夜空に大きな月がまあるく光っていた。
あいつと話すときはいつも、夜だった。
その中、空を見上げるようになったのはいつからだっただろう。
夜は、敵である世界を、黒く染めて見えなくしてくれる。
それがいつしか、暗い世界にいる自分を照らしてくれる時間となった。
目に映る夜空は、月以外にも星が瞬き、それは美しかった。月は自分で輝いていないとしても、光っているのは嘘ではない。自分で光っていないだけで、月がなければ夜は照らされない。
嘘とは何だろう。
事実ではないこと。人を騙すために言う、事実とは違う言葉。
だが、嘘が真実ではないと、誰が言った?
真実とは何だ?
うそ偽りのないこと。本当のこと。
本当のこととは? 〝本当〟にうそ偽りがないとでも?
それを決めるのは、誰だ?
その答えを知りたくて、俺は、この戦いを始めたんじゃないのか?
――その答えに、俺は、辿り着いた
だからこれだけ、満足しているのだろう。
満天の星が、世界を彩っている。ふわり、といつも嗅いだ香りが、心を満たした。
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