004 ミューゼ
夕闇が広がり始めた下り坂の帰り道、二十歳すぎの白人男性3人組に声をかけれら付きまとわれかけた葵と未来。二人は、脇をゆっくりと走っていた大柄の母親世代くらいのシティライナーに話しかけ笑いあい、彼らから距離を取って去っていった。
ナンシーと名乗った、人の良さそうなおばちゃまシティライナーから「
「観光もするけど、語学研修と、この子の研究助手をするんです。」と続ける。
中学生くらいに見える二人が
ハリーとポッターの魔法世界の小人のようなものを想像したらしいナンシーは、未来の身振り手振りを面白がりながら、「私は大きくなりすぎたから、小人さんを呼び出すのは無理そうね。」と、両手でボディを強調しながら笑う。
葵は、「いえ、リトルは皆さんに使っていただくことを目指している技術なのです。」としっかりした口調で言った。ナンシーは頼もしい若者を見る目になって、
「あなたの
葵が、「メディカル・リサーチパークのレゾ・サノー社というところの研究所です。」と答えると、学校名ではなく研究所の名が出てきたことに「Really?」と驚いてみせたナンシーは「アオイと、レゾ・サノーね。今後の楽しみに覚えておくわ。」
と噛みしめるように言うと、公園の出口で手を振って笑顔で別れを言って去っていった。
葵と未来も笑顔で手を振ってナンシーを見送った。
「ギリシャ神話の、
と、葵と未来はナンシーの感想を語る。見知らぬ年上の男性たちに両脇を抑えられ気まずくなりかけたところに通りがかってくれたナンシーは、今日の二人にとってちょっとした女神というか救世主だった。
ディナーは、今晩の宿ノース・コンチネンタル・ホテルでのビュッフェ。
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(Q:以下、牧野葵氏とゼータスペック社の未公開の知的財産権に関わる内容を含むため、ヒアリングの書き下ろしはいたしません。)
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