帰宅とおでかけ

「ただいまぁー……」


 疲れたあぁぁ……本っ当に疲れた。

 やっぱ何日も連続で体動かし続けるのはちょっとこの体にはキツいなぁ……まぁ、楽しかったのは間違いないし、合宿自体は満足出来るものだったけどね。


 合宿最終日の夕方、ようやっと家へと帰ってこれた私はポイッと着替えが入ったバッグを投げ置き、お母さんに怒られるのが分かっていながらも靴を揃えずに脱ぎ捨てる。


「さてさて。とりあえず今日はゆっくりするとして、明日はお休みだし居なかった分お店のお手伝いしなくちゃだ」


 どーせあの兄は遊び回ってるだけだろうし、その分私がしっかりしなきゃ。

 ほんと、大学入ってから余計に遊び呆ける様になったもんなぁ……改めてあの兄は進学しない方が良かったんじゃないかな?


「そのくせ千胡お姉ちゃんみたいに一人暮らししてる訳でもなく、ずーっと家に居るんだもんなぁ…………はぁ、久しぶりに千胡お姉ちゃんに会いたいなぁ」


「だーれに会いたいって?」


「んみゃあっ!?ちっ、千胡お姉ちゃん!?帰ってたの?」


「えっへへへ〜♪実は昨日千代ちゃん驚かせたくて帰ってきたんだー」


「そうだったのか……んもー、びっくりしたなぁ」


「えっへへへ〜♪」


 してやったと言わんばかりに、私に目を隠していた手を跳ね除けられたにも関わらずニコニコ笑顔で千胡お姉ちゃんは私の後ろから前に回ってくる。

 そんな千胡お姉ちゃんは、長いままだが高校卒業時よりも少し短くなった髪の毛に明るく軽い服装、そして薄くだがお化粧をしてるという、ちょっと大人な雰囲気になっていた。


「それで聞いたよ千代ちゃん。明日、おやすみなんだってね?」


「まぁそうだけど……」


「じゃあさじゃあさ。たまには二人でお出かけしない?大学入ってから千代ちゃんとお出かけ殆ど出来てないしさ」


 おぉ、千胡お姉ちゃんとお出かけかぁ。確かに去年は数えるだけあったようななかったようなもんだったし……んーでもなぁ。


「明日は合宿に行ってた分お店のお手伝いしなくちゃだろうし、無理なんじゃないかなぁ……」


「それなら大丈夫!ちゃんとお父さんに許可貰ったし、千代ちゃんに任せるつもりだったお仕事も私がやっといたから!」


「ほんと?!」


 本当ならすっごい助かるし、千胡お姉ちゃんとお出かけ出来るけど……でも、お仕事やって貰った挙句お出かけで甘やかされるのは流石に良心が……


「ほんとほんと。でもどうせ千代ちゃんの事だし、仕事取られたのにただ甘やかされるのは嫌でしょう?」


「うっ」


 流石千胡お姉ちゃん……私のことはお見通しだ。


「ふふっ♪その様子だと図星ね。なら詳しい話は後にするとして、ご飯は用意してあるから早い所食べちゃって久しぶりに姉妹水入らずでお風呂に入りましょっ」


 流石生まれた時から一緒の姉妹というだけの事はあり、いつも通り見事にお見通しされてしまった私は、いたずらっぽく笑いながらそういう千胡お姉ちゃんについて行くのだった。

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