一緒の弊害

「映画研どうですかっ!」


「むぎゅっ」


「漫研!漫研新入生募集中でーす!」


「もぎゅっ」


「文芸部如何ですか〜?」


「んむぁっ」


 ーーーーーーーーーー


「しぬ……ちにゅ……」


「いやぁー、見事に千代ちゃんもみくちゃにされてたねぇ」


「途中見失っちゃうくらいだったぞ!」


「うれしくなぁぁい」


 お昼休み、二階にある教室の窓際にて持ち寄ったお弁当を広げながら、廊下いっぱいに居た部活動勧誘でもみくちゃにされた私は机に突っ伏していた。


「そういや礼二は?せっかく皆同じクラスになったのにどこ行ったのさ」


「れーくんなら千代ちゃんがもみくちゃになってる間になんか写真部に行くとかなんとかいってたよ?」


 あんにゃろう……人がめちゃくちゃにされてる間に何一人できっちり部活に入ろうとしてんだ。


「今日帰りにたこ焼き奢らせよっと。所で二人は入る部活とか決めた?」


「私はまだー。そもそも道中は運動部系の勧誘が殆どだったし、お昼ご飯食べた後帰る前に二人ともう一回りするつもりだよ。叶奈ちゃんはー?」


「叶奈もまだだぞー。なんかこう、ぴんっ!ってくる部活がなくてなぁ」


 ピンとくる部活ねぇ……確かに皆でやるにはピンと来るようなのはー……あっ。


「そうだ。たまにはバラバラに行動してみるのはどう?」


「「バラバラに行動?」」


「うん。ほら私達基本いつも一緒じゃん?だからほら、無意識の内に他二人の好みとかも考慮しちゃってるんじゃないかなと思ってさ」


「いやいやいや!流石にちよよんそんな事はー……」


「ある……かも?」


「だなぁ……」


 私にそう言われ、最初こそそんな事はないと笑って拒否しようと二人はしたものの、やはり私と同じく心当たりがあったのか直ぐに私の意見を認めてくれる。


「じゃあ今日はバラバラに行動してみるって事でいい?」


「いいよー!」


「叶奈も賛成だぞ!」


「よし!それじゃあ今一時前だし……遅くても四時くらいにはまた教室に集まろうか」


「「はーい!」」


「よし!それじゃあ一旦解散という事でっ!」


 こうして、私達三人組は珍しくそれぞれ別れ別行動をする事になったのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る