男女で違うあれやこれ
「女の子と男の子の違い?」
「そっ、ふと気になってさ!よーちゃんに教えて貰おうって思って!」
そうワクワクしてますと言うような、満面のニコニコ笑顔で俺の前で手を合わせでお願いしてる千保お姉ちゃんを前に、俺は突然のその質問に怪訝な表情を浮かべる。
「別にいいけど……精神的な事とかなら多分千保お姉ちゃんの望む回答は得られないと思うよ?」
「あ、そっちじゃなくてとりあえず肉体的な違いとか教えて貰いたいの」
「あ、そっちですか。さいですか」
だとしてもそんなにっこにこして聞くことじゃねぇだろうよ、我が姉。
「それで?肉体的な事って言ってもどんな事話せばいいの?」
「んーとそうだなぁ……まずは感覚の違いとか?」
「感覚?感覚かぁ……」
いきなり女の子にぽんってなったなら明確な違いが分かるだろうけど、俺の場合女の子に転生だからねぇ……
「赤ん坊の頃から記憶がある上にその状態で数年、更に体に男女の違いが出るまで十数年、それだけの間女の子として過ごしてたんだからもう今の感覚が当たり前だよ」
「そっかぁ」
女の象徴ともいえるそのたわわになった自分の胸を、俺が手でぽよぽよとしながらそう言うと、千保お姉ちゃんは残念そうにしょんぼりとしてしまう。
「でもまぁそうだなぁ……見られてる、っていうのは男の頃より分かるかな?」
「見られてる?視線ってこと?」
「うん、こう見られてるなーっていうのは明らかにわかるようになったね。特に胸の辺りだとかを見られてると」
「あー分かるー。女の子も見てくるけれど、なんで男の子はあんなにじっと見てきてバレないと思ってるんだろうねぇ」
「男はそこに大きくても小さくてもあれば見てしまうものなんだよお姉ちゃん。それも大きい物だと尚更ね」
俺はそこの所理解してるから、もう多少見られてる位は自由にさせてるけれどもさ。いちいち気にしててもキリないし。
「身体的な違いと言えば、今胸の話したけどこれが一番違うよね」
「ん?」
「だからほら、胸の有り無しだよ。運がいいのか悪いのか私ってお姉ちゃんに似て結構大きくなったじゃん?」
「だねぇ」
「そのせいか知らないけど男の頃に比べて明らかにバランス崩しやすくなったね」
「つまりはコケやすくなったって事?」
「そういう事。足元なんて見えないから余計にねぇ。後は気を抜いたら猫背になっちゃいそうになったりとか、肩こりが酷いとか」
「わかるー!でもそっか、女の子じゃないとそういった事は無いのか」
「そりゃそうだよ。肩凝りとかは別の要因で起こるかもだけど、まず男には胸が無いからねぇ。成長してこうなったから自然としてるけど、いきなり男から今の私になったらまともに生活できない自信あるもん」
思い出したかのように俺が今ではもうあって当然な胸がある事による違いという、今は街の方に引っ越してしまったどこぞやかの長女が聞いたら激怒しそうな内容の話を、この姉が満足するまでしてあげるのであった。
「ち、ちなみにだけどさ」
「ん?」
「あ、アレは……どんな感じなの?」
「アレ?」
「ほ、ほらアレだよアレ、そのあそこについてる……」
「……?あぁ、アレか!そうだなぁ……」
これはもう喪失感云々とかの前に最初からなかったんだし……
「無いものはない!今はないのが当然だし、あればあるのが当然だったし、それくらいのものだったよ」
時々こんなモロな話をしながら。
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