新年初仲良し
「んんぅむぅ……さむい」
「千代ちゃん寒いの好きな割に寒がりさんだよねー」
「そんなよーちゃんはお姉ちゃんがぎゅーっとしてあっためてあげよう!」
「んにゃぁー」
千保お姉ちゃんほかほかだぁー。
「私の娘達は相変わらず仲良しねぇ……それでは浩さん、お義父さん、私達は一足先に帰らせて頂きますね」
「俺もお昼過ぎくらいには行くから、それまでゆっくりしておいで」
「実家の方によろしくな」
「はい。それじゃあ皆、行くわよー」
「「「はーい」」」
年を跨いで午前二時、普段ならばもう夢の中へ旅立っているこの時間、珍しく起きていた俺は母様やお姉ちゃん達と同じモコモコな洋服を着て父様達に見送られていた。
こんな時間に何故そんな防寒対策バッチリで外に居るのかというと……
「毎年だけどこんな遅い時間に電車に乗るなんて凄くドキドキするよね!」
「ねー。普段絶対しないことだからかな?でも母様の実家に行くの久しぶりだなぁ……お盆ぶりかな?」
そう、俺達花宮家女性陣は例年通りちょっと早めに母様の実家に向かうべく、こんな時間に家を出てるのであった。
「二人共、気持ちは分かるけどもっと千代みたいに大人しくしてなさい」
「お母さん、よーちゃんが大人しいのは……」
「んぅー……お姉ちゃんあったかーいー……」
「ウチの懐で眠りかけてるからだよ」
「千代ちゃんいつも遅くて十時には寝てるもんねー。もうお眠な訳だ」
「ん〜♪えへへ〜♪」
おねーちゃんにぎゅーされて撫でられたぁ〜♪
「ほんと、ウチの娘達は仲良しさんだこと。ほら、電車来ましたよ。この時間は人も居ないでしょうし、中でくっついてなさい」
「「「はーい♪」」」
そうこうしているうちに到着した電車に乗り込み、姉妹で引っ付いて居ること数時間、眠りに落ちた俺達は母様の実家に着くまでぐっすりと夢の中に居たのだった。
ーーーーーーーーーー
「「「あけましておめでとうございまーす。今年もよろしくお願いします」」」
「はい、皆おめでとう。寒かったでしょうし早い所お上がりなさい」
「「「はーい!」」」
「ったく、あの子達ったら」
「ふふふっ、仲がいい事は素晴らしい事じゃない。ほらあんたも日が登ったらおせち作ったりするんだから、今のうちに娘達と休んでなさい。たまには優しくしてあげなきゃダメよ?」
「はーい」
「ほんと、似た者母娘だ事」
娘達の後を追い、そんな返事を返しながら家へと上がる母様を見てばあちゃんは、困り顔ながらどこか嬉しそうにそういうのであった。
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