年末の恒例行事
「くぉら弘紀!貴様も片付けせんかぁ!」
「やーだねー!」
今年もやってるやってる……兄は相変わらずだけど、おじいちゃん今年でもう七十も後半なのに元気だなぁ。
「俺には無理だけどせめてお姉ちゃん達の結婚式と子供を拝む位までは生きてて欲しいなぁ」
「こーんな乳してるだーれが結婚無理だってー?」
「ひゃあっ?!ち、千保お姉ちゃんいきなりやめてよー!」
「うぇへへへへ、いい乳してますなぁ」
くっ!この姉、俺が元男だって分かった途端から本当遠慮なくなったな!というか、俺よりもあんたの方がいい物持ってるでしょ!
「むぇっへっへぇ〜えぇっ?!いっつー!」
「一体何やってんのよ千保ちゃん。千代ちゃん困ってるじゃないの」
「だってよーちゃんがおっぱい揺らして誘ってたんだもん!」
「誘ってない!高い所に届かなくてジャンプしてたの!」
「貴女達は集まって何やってると思えば……早く掃除済ませますよ」
「「「はーい」」」
今年も残す所あと数日、俺達三姉妹は母様に習って例年通りエプロンを身につけ三角巾を頭に被り、箒やハタキを片手に大掃除に準じていた。
「毎年の事だけどウチらの家でさえウチら四人で何とか掃除終わるのに、お父さんよく一人でお店の掃除終わらせるよねぇー」
「そりゃあ私が毎日お店閉める時にハタキに箒掃除やってるからね〜。掃除自体は楽なはずだよ。まぁ強いて言うなら商品整理は大変だろうけどね」
「今年は千代ちゃんお店に色々手を入れさせて貰えてたし、父様も片付け大変なんじゃない?」
あー、確かに。あるかもしれない。
「それはちょっとあるかも知れないわね」
「「「あ、母様」」お母さん」
「あの人、千代が売り場用に描いた絵だったり、札は全部部屋に取ってあるのよ」
「えっ!?そうなのっ?!」
初耳なんだけどっ!
「へー!でもなんて言うかお父さんっぽいね!」
「だねー。というか母様、掃除はもういいの?」
「今年は千代と一緒に数日前からコツコツやってましたからね。ね、千代」
「ねー!よく使う所は後回しにして、使わない所は全部やっちゃったもん」
「えっ。て事はもしかして……」
「もう全部……終わった?」
「「その通りー」」
驚くお姉ちゃん達二人を前に、してやったりと言うように母様の前で母様に手を握られながらバンザイをしつつそう言って、顔を見合わせてえへへと笑い合う。
「さてさて、それじゃあお家の掃除は終わったし、皆で浩さんのお手伝いに行きましょうか」
「「「はーい」」」
こうして年末の大掃除はいつもよりも余裕を持ってゆっくりと過ぎていくのだった。
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