目的違い
青い海!白い砂浜!
「は、スルーして!ついたはここっ!日本国内でも随一の人気観光スポット!沖縄だぁー!」
ふっふっふっ……俺はこの観光大国で新たな商売技術を手に入れるのだっ!
「ぜーったいあいつだけ目的違ぇ」
「まぁ、ちよちーらしいと言えばちよちーらしいよねー」
「なぁなぁ神井くん!アイス食べに行こう!」
「ちょっ!伊部さんまってっ!」
「……あの二人ってあんな仲良かったっけ?」
「いつの間に仲良くなったんだろ?」
「頑張れ、大和」
叶奈ちゃんに手を引かれアイス屋へと連れていかれる神井君を眺めつつ、お昼休憩の自由時間を俺達いつもの五人の班は空港内で過ごしていた。
「でもほんとよかったよねー。いつもの皆で班組めて」
「ねー。綺月ちゃん危うく修学旅行中ずっと私の後ろで過ごす事になる所だったもんね」
「うぐっ。そっ、そんな事ないもん!少しは男の人も慣れたもん!」
可愛いなぁ……
「可愛いなぁ」
「なんで頭撫でるのー?!」
そう、何故クラスの違う俺達が同じ班なのかというと、実は俺達の学年は一クラス辺り二十人と人数がそこまで多くなく更に二クラスしかない為、混合で班を組むことになったのである。
「にしても……去年日本に返還されたとは思えないよね」
「だな。なんというか、そのー……」
「思ったよりも日本日本してる?」
「何の話してるんだー?」
「あ、叶奈ちゃんおかえり。思ったよりも日本っぽいねって話してたんだよー」
「ん?どーいうことだー?」
「一昨日まで……沖縄は……アメリカの物で……去年日本に……返還……されたばっかりだからだよ……ふぅ」
「なーるほどー!」
「大丈夫か大和?だいぶ息切れてたが……」
「ははは……アイス買いに行くつもりが全く違う方に連れ回されるとは……」
「かなちー実はちょこっとだけ方向音痴だからねぇ」
「む、そんな事ないぞ!ちょこっと気が付かないうちに遠回りになっちゃっただけだ!」
それを方向音痴っていうんだよなぁ……
「そういや出店の人は日本語ペラペラだったぞー?」
「あー……」
アイスクリームを食べながらそう言う叶奈ちゃんの言葉を聞き、俺はもしかしてとその日本っぽさの原因に気がつく。
多分前世で習った事が正しいなら去年までの沖縄は「アメリカに染まった日本」って表現が正しい、でも去年一年間色々と日本から人、物、施設が入ってきた事で「日本とアメリカが入り交じった日本」になったんだ。
といってもこの考えが正しいとはハッキリ言えないけどね。
「奥が深い、本当に奥深い」
「なんだか千代、すっげぇ楽しそうだな」
「え?そう見える?」
「あぁ、心底楽しそうにしてるぞ」
「そっかなぁ?ふふっ、そうかなぁ?っと、そろそろ時間だ。皆ー、集合場所に行くよー」
「「「「はーい」」」」
こうして、俺の沖縄修学旅行は幕を開けたのであった。
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