数年ぶりの

「「こーんにーちわー」」


「はいはいはーい!二人共いらっしゃーい。暑かったでしょー?上がって上がって〜♪」


「「おじゃましまーす!」」


 夏休みのある日、ジーワジーワとどこからともなく聞こえてくるセミの鳴き声と風鈴のチリリンという軽やかな音が夏を感じさせるある日のお昼時の事。

 俺の家である花宮家には、ショートパンツやワンピースといった夏らしい涼し気な格好の叶奈ちゃんと綺月ちゃんがそこそこ大きな荷物を抱えてやってきていた。


「わひゃー!ちよよんのお家久々に来たぞー!」


「ねー!お泊まりしたのになるといつぶりになるのかなぁ?」


「もう覚えて無いぞぉー!」


「はいはい二人共、今日は私しか居ないからって扇風機前でゴロゴロしないで、お昼ご飯用意してあるから早く荷物を私の部屋に置いてきなさーい」


「「はーい!」」


 お昼ご飯と聞いてドタドタと俺の部屋に荷物を置きに行く二人を見送ると、全くもうと言った具合にやれやれといった態度を取ってから、俺は台所へと向かう。

 そう、二人の家ではちょくちょくやっていたが、今日は数年ぶりになる俺の家でのお泊まり会なのである。


 ーーーーーーーーーーーーーー


「んで、なんでお前らのお楽しみに俺まで巻き込まれてんだ?」


「まぁまぁいいじゃん礼二、おばさんもおじさんも今日は夜まで居ないんでしょ?ならうちでお昼ご飯食べていくくらいさ」


「んで、その代償がこの流しそうめん流す役か?結局食えてねぇじゃねぇんむっ!」


「どう?美味しい?」


「……ん、悪くは……ねぇな」


「ふふっ、良かったぁー」


 つっても茹でただけだし、そこまで大したことはしてないけどね。


 お昼ご飯に我が家の物置にあった昔やった流しそうめん用の竹で流しそうめんをやろうとし、暇そうにしてた礼二に流す役をさせてた俺は、文句を言おうとする礼二にそうめんを食べさせて黙らせる。


「いちゃいちゃだねぇ」


「よっ!名夫婦!」


「ふっ、夫婦じゃねぇし!だいたい、なんでこいつなんかと……」


「ねー。礼二はいい男なんだからもっといい女の子が似合うもん」


「うっ、つっ……ぐぅ……」


「……礼二君今回も見事にやられたなぁ……」


「あれが上げてから落とすってやつだな、うん」


「?」


「「なんでもなーいよー」」


「わわっ!二人共?!いきなりなにさー」


「お前ら……本当に仲良いよな」


「「「それ程でもー」」」


「よし、この残りのそうめん俺一人で全部食うわ」


「「「うわぁーー!!」」」


 こうして賑やかに、お泊まり会初日のお昼はいつの間にか吹き始めた涼し気な風の中過ぎていくのであった。

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