情報収集と比較
「〜♪」
今日っも小テスト〜はまーんてっんだ〜♪
「いやー、やっぱ中学校になると少しは勉強にも歯ごたえが出てくるもんでねぇ〜」
ある日の休み時間、前の授業である数学で見事と言うべきか必然と言うべきか、いつも通り満点を獲得した俺はウキウキ気分で図書室から教室へと戻っていた。
「むふふふふ、これは帰ったら父様に褒めてもらわねばー……っと。おや?あの後ろ姿は……」
無駄に礼二と同じくらい高い背にあのキラッキラな金髪、あれは間違いなく……
「かーみいくんっ!」
「ぬぅあぁっ!?だっ、誰だいっ!?……ってなんだ、花宮さんじゃないか」
「なんだってなんだ、なんだって。というか練習上がり?」
今日は体育祭の練習無かったはずだけど。
「あぁ。ほら、ウチのクラスの担任って体育の宮本先生だろ?」
「あっ」
「だから勝って欲しいのか知らないけど、こうして練習させられてるんだよ」
「あぁー……それはもう、ご愁傷さまです」
少しは成長しているものの、相変わらず目立つ金髪の体操服姿の神井君に後ろから奇襲を仕掛けた俺は、体操服の謎を教えてもらい、そう言って手を合わせる。
「若干同情の仕方に悪意を感じるけど、ありがとうね花宮さん」
「なはは。でもそうかぁ、神井君のクラス練習してるとはなぁ……」
去年の体育祭の時やけにひとつのクラスが強いと思ったらそういうことだったかぁ……
「うーん、このままじゃ不味いか……?」
「不味いって……何が?」
「いやぁー。ウチのクラスさ、結構やる気はあるんだけど実力は伴ってないというか」
このままのーんびりやってたら最悪二位……いや、最下位になる可能性も充分に……
俺の呟きを聞き俺の思ってる事を察した表情で「あー」と言う神井君の前で、俺は顎に手を当て少し今度の体育祭で俺達二組が所属する白団の順位をそう軽く想像する。
何故そう思うのかというと、平成の頃に生まれた「皆仲良く一位で」なんていう体制が無い時代だからか、小学生の運動会よりも純粋に競う項目が多いのがこの時代の体育祭だからだ。
そして俺の所属する二組はやる気こそあるのだが……
「二組って運動系苦手な人多いもんねぇ……花宮さんも含めて」
「うぐっ!い、いいもん。私が得意なのは水泳なんだから、ちょっとくらい走るのとか苦手でも大丈夫だもん」
女子の中じゃ25m最速だもーん。50m?聞くな。
「そういう問題じゃないと思うけどなぁ」
「ぐぬぬぬぬ……!とにかく、強さの秘訣が分かったなら簡単な話!私達もタダで負けるとは思わないでね!」
「花宮さんのリーダーシップは凄まじいからなぁ……楽しみにしてるよ、花宮さん。っと、チャイムが鳴っちゃったか、それじゃあまた」
「ん、またねー」
さて、どうやって勝つか考えなきゃ!
そうして、この後の授業やその他様々な時間に俺は二組が勝つ為にはどうすればいいのかを必死に考えたのであった。
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