測定の日と幼馴染

「ありがとうございましたー」


「はーい、次の人ー」


 うーむ、やはりこの歳にしては……やばい……?やばくない?


 測定が終わり、女子の天敵であると言える上に乗ってとある数値を測る機械から降りた俺は、久しぶりに測った自分のその数値に珍しくしかめっ面になっていた。

 そしてそんな俺に……


「ちーよちー!いくつだーったっ!」


「うにゃあっ!?びっ!びっくりしたぁ!」


「珍しくむむむってしてたなちよよん!太ってたか!?」


「叶奈ちゃん容赦なく聞いてくるねぇ……太ってはないよ、ほら」


 後ろから飛びついて来るようにして抱きついてきた、俺と同じくブルマ姿の叶奈ちゃんと綺月ちゃんに俺はビクッとした後そう言って37キロと書かれた紙を見せる。


「おー、やっぱりちよよんは軽いなぁ。で、みやみやはいくつだったんだ?」


「そ、それはー……」


「ちよよんの体重が去年と全く変わってなかったからって逃げるのは見苦しいぞみやみや」


 おぉう……相変わらず毒というか、ズバッとやるなぁこの子は……


「うぐぅ……!」


「で、何キロだったんだ?」


「……2キロ」


「ん?」


「42キロ!」


「ふむ、ちよよんより5キロも重いな!」


「ぬぐぅああぁぁぁぁ!」


「オーバーキル!」


「ちなみに叶奈は少し増えて45キロになってたぞ!身長伸びたのかなぁ?かなぁ?!」


 いやぁー……多分それで増えたのは身長じゃなくて、そのご立派でたわわなぽよよんじゃないかなぁ……


「はーい、次の項目測りますよー。そこ、騒がないように」


「「「はーい」」」


 約一人精神的に大ダメージを受けつつも、そんな少なくとも男であった俺には他愛もない話で盛り上がっていた俺達三人は、先生に怒られたりしつつも次の測定へと向かうのだった。


 ーーーーーーーーーー


「…………まぁーじかぁー……」


 今回も結構前の測定から努力したんだけどなぁ……


「ここまでがっくし来たのは前世で春学期の単位めちゃくちゃ落としちまった時以来だ……」


「何以来だって?」


「ぴゃうんっ!?」


 いつの間に後ろにっ!?というかどこから聞いてやがった!


「お、おう。今までに無いくらいビクッてなったな……んで、なんだか珍しく落ち込んでるとおもったが、その様子だと今年もまた伸びてなかったんだな」


「っ〜!」


「いたっ!ちょっ!やめっ!やめろって!」


 落ち込んでた所にちょっかいをかけられ、びっくりした照れ隠しと弄られた仕返しに俺がポカポカと殴っているその俺より頭一つ分身長の高いその男子は……


 この二年で生意気になりおって!人が一番気にしてる所なのにぃ!


「礼二のばかっ!きらーい!」


「ごめんなさい!」


 謝るまでの速度早っ!


 小学生の頃と比べ筋肉が着いてきた上に、更に大きく身長が伸びて今では160台になっていた俺の幼馴染である礼二であった。

 ちなみに俺はというと、小学校低学年の頃から身長は殆ど変わらず、137センチを維持し続けている。


「次やったらもっと怒るからね」


「はい……」


「よろしい。それで、男子が女子に何の用?」


「うぐっ、この間のそれまだ怒ってたのか……」


「つーーん」


「分かった分かった。俺が悪かったよ。あの時周りに結構人居たから恥ずかしくてあんなこと言っちまったんだよ」


「結構傷ついたんだからね」


「本当にごめん」


「うむ。じゃあ仲直りって事で今日学校終わったら私礼二の家に遊び行くから!」


 つーんとここ数年で更に磨きのかかった女の子ムーブを行いつつ、久しぶりに礼二とちゃんとお喋りした俺はそのままの勢いでそう遊ぶ約束を取り付ける。


「ええっ!?」


「ん?どうしたの?いやだった?」


「い、いや、そういう訳じゃ無いんだが、その……」


「……?あっ」


 いかんいかん、俺とした事が思春期男子の心を疎かにしてしまった。


「そっかそっか、礼二ももうそういう歳だもんね」


「おいまて、なんか物凄い勘違いしてないか?」


「そうだよね。礼二も男の子なんだから、そういうのにも興味出て来る頃だよね」


「いや違う!違うからな!?」


「大丈夫大丈夫、私はちゃーんと分かってるから」


「分かってない!お前は絶対に分かってない!」


「えー。でも来て欲しくないって……」


「分かった!来ていい!来ていいから!」


「え?ほんと?」


「ほんとほんと!」


「やったぁ!じゃあお菓子持っていくね!」


 久しぶりに礼二と遊べる〜♪


「本当……お前には何年経っても勝てねぇよ……」


「ん?何か言った?」


「いーや何も」


「そう?っと、そろそろ教室戻らないとね。それじゃあまたねー」


 そう言うと俺は苦笑いっぽい表情を浮かべる礼二に手を振り、教室へと戻るのであった。

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