中学生編
少しは変わった私達
「おいーす。二人共おはよー」
朝の七時頃、小学校とは反対方向にある中学校へと俺は向かう最中、俺は誰かを待っている様子のセミロングとソフトウルフの髪型の女子二人組へと大きく手を振る。
するとその二人はこっちに気がついたのかこっちに駆け寄ってくる。
「あ、おはよーちよちー」
「今日も時間ピッタリだったな!ちよよん!」
「本当ならもうちょっと早く来るはずだったんだけどねぇ……あんの兄野郎にまた絡まれてさ」
ほんっと、勘弁して欲しいぜ。
「あはははは……お疲れ様ちよちー。所でれーくんは?」
そう聞いてくるセミロングの髪型の子は綺月ちゃん。
あれから二年が経ち優しげな顔つきとおっとりとした雰囲気は変わらないものの、ぐぐんと身長が伸び、今では俺の1.25倍程の身長となっていた。
ちなみに大きくなったのは背だけのようで、あちらは全く成長していない。
「あいつなら「女子と一緒に登校したらからかわれる!」から先に登校してるってー」
「れーたろーも変な事言うようになったなぁー。これがシシュンキってやつなのかー?」
そう言いながらちくちくとしたソフトウルフの髪を揺らしてケラケラと笑うのは叶奈ちゃん。
背こそ綺月ちゃんのように劇的に伸びては居ないものの男勝りな性格や元気さはそのままに、更に良くなった発育で出るとこは出て引っ込む所は引っ込んでいた。
「少なくともなーんにも変わってない叶奈ちゃんにはあいつも言われたくないと思うなぁ」
「どういう意味だちよよん!」
「はいはい、二人共そこまで。そういや二人共、今日は身体測定だけどなにかしてきた?私は────────」
くきゅるるるるるる……
「……んまぁ、聞いての通りです」
「まーたあんたは朝ご飯抜いたのか」
「えへへー」
「えへへー、じゃない。ちゃんと食べないとダメだっていつも言ってるのに」
だから胸が育たな……じゃなくて。なんで女子ってそこまで体重に対してはそこまでやれるんだろうか……不思議だ。
そんな色々と変わったり変わらなかったりしてるそんな朝から元気な二人に対して、もう女の子としても色々と慣れ切ったにも関わらず俺はそう思う。
そしてそんな俺はというと、背中の中程まであった長い髪は腰くらいまで更に伸び、身長は……まだ測ってないから分からないが、確かに少しは成長している……はずである。
そう、あれから二年の月日が流れ、小学校を卒業した俺達は中学校二年生へとなっていたのだった。
「ちよよんちよよん!」
「ん?なぁに叶奈ちゃん?」
「叶奈はちゃーんと朝ご飯食べて来たぞ!偉い?偉い?」
「おぉ!偉い偉い!叶奈ちゃん偉いー!」
「うぇへへへへ♪」
この子はまぁ、また別としてね。
わしゃわしゃと褒めてほしそうにしていた叶奈ちゃんの頭を撫でてあげながら、俺は綺月ちゃんから羨ましげな視線を感じつつそんな事を考えていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます