女湯戦争
「か、か、かー……缶!あっ」
「はい、千代ちゃんの負けー」
「ほんとよーちゃんしりとり弱いねぇ」
「むー!」
だってなんかテンパっちゃうんだもん!
「はいはい、二人共あんまり千代をからかわないのよ」
「「はーい」」
あのお泊まり会から数日後、いつものように母様お姉ちゃん達と一緒にお風呂へと夕暮れ時の街を仲良くしりとりなんかしながら歩いていた。
「そういや千代ちゃん。お泊まり会の時もこのお風呂来たんでしょ?」
「そーだよー」
「いーなー、皆でお風呂羨ましいー」
「あんまり友達と皆でお風呂なんて無いもんね。それでそれで、誰が一番おっぱいおおきいの?」
相変わらず千保お姉ちゃんはなんというか、オヤジ臭いなぁ。
「こらこら、あんまり外でそんな話するものじゃないですよ。っと着きましたね、こんにちはー」
「お、花宮さん達いらっしゃい。今日も母娘揃って仲良しだねぇ」
「ふふふっ、ありがとうございます。いつも通り大人二人子供二人、洗髪代付きでお願いします」
「あいよ、皆綺麗にしておいでね。千代ちゃんは長湯しちゃダメだからね」
「はーい」
母様からお金を受け取った番台のおじちゃんにそう言われ、苦笑いを浮かべながら返事を返した俺が赤い暖簾を潜り女湯へと入るとそこには────
「あ」
「「あ」」
今まさに洋服を脱ごうとしていた叶奈ちゃんと綺月ちゃんが居たのだった。
ーーーーーーーーーーーー
カコーン。
「いやー、まさか二人がこっちのお風呂に来るなんてねぇー」
「実はお泊まり会の時皆でお風呂入ったの楽しくて……お母さんにお願いして連れて来て貰ったんです」
「叶奈もだぞー!そしたらみやみやが居たもんで……」
「びっくりしたよぉー」
「あはははは……んでそこに私達がやって来たと」
「って事になるなぁ……」
千保姉ぇ。
「というかおっきいねぇ叶奈ちゃん。やっぱ大きいと色々大変でしょー?」
「分かってくれるか!そーなんだぞー、夏とか気持ち悪くて……」
「わかるぅー」
千保姉ェ……
いきなり始まった叶奈ちゃんと千保お姉ちゃんの二人による巨乳談議に、綺月ちゃんと千胡お姉ちゃんが二人の頭を叩く光景を前に俺は苦笑いを浮かべていた。
脱衣場で二人と会ったあの後、せっかくだし皆で一緒に入ろうという事になり綺月ちゃん叶奈ちゃんの二人と、お姉ちゃん達二人の皆でお風呂に入って居たのだった。
ちなみに母様は今、綺月ちゃんと叶奈ちゃんのお母様方と一緒に入ってくると言う事で今は少し離れた場所でお母様方と世間話で盛り上がっている。
「痛いぞみやみやー」
「ほーねぇ叩かなくてもいいじゃんかぁ」
「うるさーい!そんな大きいの持ってながら何が不満なのよ!」
「そうだそうだ!欲しくてもない人だっているんだぞ!ね、ちよちー!」
「へっ!?お……私!?」
やっべぇー完全に油断してた!何かこの巨貧二勢力を敵対させず両方と仲良くする方法は……えーっと、えーっと……
「わ、私はそうだなぁー……っー……確かに少しは欲しいけど大きいと大変って市場のおばさん達も言ってるしそこそこがいいかなぁ」
きっとこれが正解……!玉虫色、はっきりしない、どっちつかずな返答……!だが、これでいい!
「流石だぞちよよん!よく分かってるじゃないかー!」
「うんうん!よーちゃんはやっぱり分かってるねぇ!」
「でもちよちーもやっぱり羨ましいんだー」
「こんなはっきり千代ちゃんが言ったの初めてかもねー」
よし、なんとか乗り切れたみたいだ……いやー、一時はどうなるか……と……
「な、なんか……フラフラーって……」
「ちょっ、千代ちゃん!?」
「ちよよん!?」
あ、これあれだぁー……のぼせた時によくなるあれ……だぁー……
こうして、なんとかこの争いを乗り切った俺は、顔を真っ赤にしてぶくぶくと湯船へと沈んでしまったのだった。
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