お泊まり会、開幕
「さて、そろそろかな?」
「「「「おじゃましまーす」」」」
お、予想通り。
「皆いらっしゃーい!」
あれから数時間後、珍しいデレデレ状態の母様の惚気話を聞きながら買い物を済ませ母様達を見送った俺は、玄関で元気よく訪れて来た皆を出迎えていた。
「今日は楽しんで行ってね!」
「うん!……あれ?今日はお姉さん達居ないの?」
「それにおばさん達も居ないな。珍しい」
「へぇ、花宮さんってお姉さん達が居るんだ」
「そうだぞ!いつもはすっごい賑やかだぞ!というか大和は好きな人のそんな事も知らなかったんだな!」
「うぐぅっ!」
「か、かなちー!あんまり酷い事言ったらダメだよ!」
今日も賑やかだなぁ……さて、いつまでも玄関でだべってる訳にも行かないし。
「とりあえず皆上がっちゃって。お昼ご飯まだだろうし、とりあえず何かやるにしてもお昼ご飯食べてからにしよ?」
「「「「はーい」」」」
床に膝を着いたり励ましたりといつもの様に賑やかな四人を前に、俺は少し苦笑いを浮かべつつもそう言って皆を家へと上げるのだった。
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「皆お待たせ、お昼ご飯出来たよー」
「待ってましたー!」
「ちよよんの手作り料理だー!」
「あはははは。と言っても喜んでもらってる所申し訳ないけど、お昼ご飯は簡単にそうめんだけだけどね」
「大丈夫さ!花宮さんの料理なら僕は何でも美味しく食べれるから!」
「あんまりそういう風には言わない方がいいよ神井君。でもちよちーの料理が美味しいのは事実だから安心だね」
そう言いながら俺がゴトンと音を立てて置いた花の模様がある大きな硝子の器には、水面へ彩にと青いもみじが浮かべられた氷とそうめんが盛り付けられていた。
「はい、こっちは麺つゆね。薬味はネギくらいしか用意できなかったけど勘弁してね?」
「いやいや、それで十分だよ。なぁ神井」
「だね。というかこれ、凄くお洒落な器だね」
「そうめんの入った大皿もだけど、こっちの取り皿の方のお花もきれーい。ガラスだからもっと綺麗!」
「ふふふっ。そう言って貰えるとちょっと重かったけど頑張って引っ張り出した甲斐があったよ」
「おぉぉ……というか水入りの器って結構重いよな……千代って意外と力持ちなのか…………」
ふっふっふっ、驚いてる礼二には悪いがこう見えて意外と力持ちなんだよ私は。とは言っても持久力はないから直ぐに潰れるんだけどね。
「なぁなぁ!もう食べていいか?いいよな!?」
「叶奈ちゃんも我慢できないみたいだし食べよっか。それじゃあ皆、手を合わせてー」
「「「「「いただきまーす」」」」」
パンと手を合わせ、いつも給食前にやってる時のようにした俺達は、ちゅるちゅると冷たいそうめんに舌鼓を打つのだった。
こうして、子供達だけのお泊まり会が幕を開けたのであった。
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