第33話 初耳、驚きの事実

 登校してきて朝のホームルームが始まるまでに、今日の部活で読むために購入した新しい小説を自慢しようと白太君のいる教室へと向かった。


 白太くんのクラスには玄人くんも紅梨もいて、学年は違うけど入りやすい環境が整っている。

 私は自分のクラスでも浮いた存在で、1人で生活していることが多い。


 ……羨ましいな。せめて1年遅く生まれてこれば。


 そんなことを考えながら白太君の教室の前に到着。すると、教室の前に青木さんがいることに気づき声をかけようとするが、青木さんは教室の扉に耳を近づけ神妙な面持ちで聞き耳を立てている。


 青木さん? 何やっているのかしら。


 気になった私は青木さんとは反対側の、教室後方の扉に聞き耳を立てる。

 な、なんなのこれ……。白太君がクラスメイトから酷い悪口を浴びせられている。


 私に告白をしたことを身の程知らずだと言われたり、平凡な顔だと言われたり。

 そんな悪口を白太くんに投げかけるクラスメイトに対して心底腹が立った。


 誰かを好きになるということは、相手と釣り合うか釣り合わないかではない。

 お互いを愛しているか、愛していないかなのである。誰しも平等に、誰かを愛し愛される権利がある。


 それに、クラスメイトたちは告白が成功するわけがないだろうと白太君のことをバカにしているが、私は白太くんが好きだ。

 だからクラスメイトが白太くんの悪口を言うのは間違っている。


 でもこの前の告白された時は振ったよね? と思うと思うが、あれは別に白太くんのことを好きじゃないから振ったのではない。


 むしろ、好きすぎるから振ったのだ。


 私は音浜高校に入学してからテストでの順位が1位以外を取ったことがない。進学したいと思っている大学は全国でもトップクラスの東音浜大学で、合格を目指して受験勉強をしている。

 それなのに、今白太くんと付き合ってしまえば間違いなく勉学の方が疎かになる。


 だから、白太くんが私に告白してくるのは身の程知らずでもなんでもない。


 それなのになんで白太くんが……。


 ……ん? 青木さん、なんだかプルプルしているのだけれど、ま、まさか。教室にとびこむつもり⁉︎


 気持ちはわかるけど、そんなことしたら火に油を注ぐようなもの。


 まだ白太くんと知り合って2ヶ月しか経過していないのに何を言いに行くっていうの?


 あ、ダメ、入っちゃダメ‼︎


 私が伸ばした手は無情にも青木さんには届かず、青木さんは白太くんのいる教室へと入って言ってしまった。


「私、白太くんと付き合ってます」


 ……へ? 青木さんが白太くんと……付き合ってる⁉︎

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