第12話 真実、自信のない私

「白太くん、私的にはやっぱりこのキャラクターが受けの方が良いと思うのだけれど」

「そうですか」


 あーんもうたまらないわ‼︎ 白太くんのその冷たい眼、冷めた声、全てが愛おしい。

 愛する人には冷たくされても興奮しちゃうのねっ。


 ……なんていうのは気を紛らわすための冗談。


 本当は胸が張り裂けそう。私の心は悲鳴をあげている。


 私と白太くんの関係が悪化したのは間違いなく去年のクリスマスパーティーで私が白太くんの告白を断ったからだ。


 紅梨の悪いイタズラがきっかけで白太くんは私に告白をしてきた。

 私はその告白を、付き合えるわけがないと言って断った。


 だってそうでしょ?


 白太くんみたいに優しくて知的な顔をしたイケメンと私が釣り合うわけがない。


 私は同級生の中でもどちらかと言えば浮いた存在だ。

 生徒会長で勉学も部活動も卒なくこなす私を尊敬の眼差しで見つめてくる生徒はいても、親しく話しかけてくれる友人はいない。


 自分に自信がない私はとっさに、白太くんの告白を断ってしまった。

 私と白太くんが付き合っても、白太くんには迷惑をかけてしまうだろうし他にもっと良い相手がいると思う。

 それに、私は東音浜大学を目指して受験勉強に勤しんでいる受験生。このタイミングで付き合ってしまえば勉強が疎かになるのは目に見えている。


 とはいえ、白太くんのことが大好きな私からすると今の白太くんとの関係は耐え切れるものではない。

 私の気持ちを白太くんに正直に話そうと思ったことは何度もあるけど、そんな勇気も自信もない。


 白太くんはもう私のことが嫌いになったのだろうか……。


 少なくとも、私に告白をしてきた白太くんが直ぐに他の女性と付き合うということはないはず。


 自分に自信はないけど、白太くんのことを諦めたわけではない。私は白太くんに見合う女性になれるよう努力を続けよう。


 今はただ、白太くんとの関係がこれ以上悪化しないよう、無理をしてでも明るく振る舞うのだ。


「よし、それじゃあみんな、新入生の勧誘に行くわよ‼︎」

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