第4話 唐突、予想外の展開
怖かったと泣きじゃくり俺に抱きついていた中学生の女の子は平静を取り戻し、ようやく俺から離れてくれた。
「ご、ごめんなさい。急に抱きついたりして……。それに服に涙が……」
急に飛びついてきたせいで顔がよく見えていなかったが、この子めちゃくちゃ可愛いじゃないか。
茶色がかった髪に整った顔、身長は緑彩先輩のように高く綺麗系というよりは可愛い系だ。
俺の前でちょこんと座り込んでいるその子は俺が一目惚れした緑彩先輩にも負けず劣らずの美少女だった。
「大丈夫だよ。とりあえず立とうか」
美少女に飛びつかれて勢いで倒れ込んでしまった俺はその子の肩を持ち、支えながらゆっくりとその子を立たせる。
「さっきのは痴漢かなにか? 相当怯えてたみたいだけど」
怖い目にあっていたであろう女の子に優しい口調で話しかける。
「痴漢でもあり、私に付き纏っていたストーカーです」
「……そうか。でももう警察が連れて行ったから安心していいと思う」
「え、あの人捕まったんですか⁉︎」
「ああ。俺が不審な人がいますって警察に電話して捕まえてもらったよ」
「あの人、ずっと私の事を追い回してたんです。1ヶ月前に初めて痴漢にあって、それからずっと追いかけ回されてて……。今日は特に酷くて、学校の最寄駅からここまでずっと私のことを追いかけまわしてて。それでトイレに逃げ込んだんですけど、トイレの前から居なくなってくれなくて……」
あの男の不審さからして恐らく痴漢かストーカーか何かなのだろうとは思っていたが、やはりストーカーだったか。
「なるほど。てことはLINEのIDが書かれた紙を落としていったのはわざとなのか?」
「はい! もしかしたらその紙を拾った誰かが私にLINEを送ってくれるんじゃないかと思って」
なるほどな……。俺はまんまとこの女の子の考えにつられたわけだ。
「警察に相談したりはしなかったのか?」
「相談はしたんですけど……。全く取り合ってくれなくて」
ストーカー被害を訴える女性の話を警察が聞く耳も持たないというのはよく聞く話だ。
誰も助けてくれず辛かっただろう。
「でもまさか本当にLINEを送ってくれて助けてくれる人がいるなんて……。その制服、
「そうか。じゃあ後輩だな」
俺が通う高校の後輩になると聞き、その子に親近感が湧く。
「はい。私、青木蒼乃っていいます」
「俺は白石白太。4月からよろしくな」
「はい。こちらこそよろしくお願いします。それで白石先輩にもう一つお願いが……」
「お、なんだ? なんでも言ってくれ。俺にとって初めての後輩だからな」
俺は高校生になって初めて出来る後輩に気分が良くなり、寛容な心になっていた。
「私と……、付き合ってください‼︎」
……え?
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