鵙は何処へ向かうのか

忌むべきは『正常』という『異常な幻想』

　〈人は何を以って「普通」の人だとか、「異常」な人と決めつけるのか〉

　幾年もその答えを探求し続けたが、結局到達し得なかった。その問いは私を異常者だと蔑むかのように、社会に溶け込もうとする度に立ちはだかった。

　私が何をしたというのか？己が人格すら捻じ曲げて生きてきた私に、社会は何を罰したいのか？

　人生という帳を開けたばかりというのに、私は人間社会に順応できずにいた。周囲との確執を抱いたまま生きていくのは苦しい。だか私に社会が正常と呼んだモノたちのフリをして生きることしか術がなかった。

　常識ある普通の心を持った人間を演じ続けることを社会が強要するからだ。その枠から食み出した者を社会は、正常と呼ばれた人間たちは忌み嫌う。いや、蔑むことで自分たちの正当性を確保している。

—————————人間の心理は永遠に変わることなんてない。例え聖人が民衆を説き伏せようとも、優れた先導者が民衆に道を示そうとも——————