幕間:ある咎人の懺悔

 失敗した。


 いや、これは失敗などと生易しい表現をしていい物ではない。


 これは絶対にしくじってはならない事だった。


 世界で俺と彼女にのみ解決可能な事案だった。


 俺なら出来ると思った。


 だが失敗した。


 完全に至れなかった。


 残滓を残してしまった。


 彼女に罪を背負わせてしまった。


 彼女は何一つ悪く無かった。


 俺だ。


 俺が失敗したから彼女は罪人となった。


 未来永劫許されることの無い罪人になってしまった。


 俺は償わなくてはいけない。


 この失態を補わなくては行けない。


 方法はある。


 だが、それは決して許される物ではない。


 その道程にて俺は安息を得てしまうだろう。


 世界をほったらかして安息を得るだろう。


 それは罪だ。


 俺が背負う世界が許さない罪だ。


 ああ、すまない。


 俺は、また罪を重ねる。


 許してくれとは言わない。


 この歩みを成し遂げた時にこそ真の贖罪を始めよう。


 それまではどうか、この咎人に歩む権利を……

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