[2]

いつもより瞼の際が痛くなるぐらい眩しくて目を開けようとしたが、異変に気がついた。目の奥がズキズキする。なんだか脳の隋まで痛い。そうしてキヅいた。


私は「車に轢かれた」と。


無理やり瞼をこじ開けるものの、見えた世界はぼやけてて焦点が合わない。ただ私の顔を覗き込む顔が母である事は、何故か分かった。泣いているようにも見える。ナース服を着た女の人が何か話しかけてくる。むず痒い視界の中、適当に聞き取った。どうやらここは病院らしい。ようやく母と目が合い、優しく抱き締められた。「全く、、何やってんのよ…。心配掛けて…。」何だかドラマみたいだなぁなんて思っていたが、母の少しイラついた表情から大事にはいたってないみたいだ。確かに、頭は痛いが、身体は軋む程度。しいて言えば、見る限り、痣だらけなのと左脚が骨折していることだけ。女の人も、あんなに大きな車に轢かれて、この程度で済んだのはまぐれだと言わんばかりの顔をして私を見ている。思い返せば、あの車は直前私に気づき、スピードを落としていたような気がする。安心した。少し息を吐いた。しかし、よく良く考えると轢かれた理由は、声をだいにして言えることでは無い。目を閉じて歩いてた…なんて。母に迫られるが、言える訳もなく。ハンカチが風で飛んでいったのを拾おうとしたとか何だか言ってみた。嘘はあまり得意ではない。まだ不満げな母だか、骨折で大目に見てくれているみたいだ。今度は白い白衣を着た、ネクタイのしっかり締まった男の人が来て説明を始めたが、窓を見て聞き流した。窓の奥から微かに、車が走る音が聞こえた。

結局、母には散々怒られたが、父が言うには今日の午後には退院出来るそうだ。親の難しそうな手続きと手厚いお話を待ってる間、私はベッドで左脚の違和感を感じながら、目を閉じた。


「あははっ」

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