第2811話 結び:試行の意味
さて初日から大変な賑わいだった『アウセラー・クローネ』新生クランハウスのアトラクション部分プレオープンだが、プレオープンというのは本当に来客に対応できるのかとか何か不足が無いかとか、受け入れる側の問題を最終確認すると同時にある程度慣れる為にやるものだ。
実際私は、真っ当な攻略をしてエリアに来た人であっても迷子になるという事を知って、エリア内の案内看板を増設したし。到達者が金曜日の夜現在でもゼロの「第一候補」のエリアを除き、それなりに成果は出ていると言える。
なおかつこれも当たり前のことだが、アトラクション部分を作ったのは移住組の事もあるが、そもそも「第一候補」が御使族として本格的に行動する為だ。主に神の祝福や加護を授けたりするやつだな。そして、安全に最大限に気を使っているから行動的な意味になっているが、ゾンビアタックと死に覚えは非推奨となっている。
『いやーしかし快適になったもんだなー』
『これぐらいなら何とかなりそうね~』
『その為のプレオープンですし、今回の問題に対してはそこが要でしたからね』
クランハウスの機能には、クランハウスに対する出禁というものが存在する。『アウセラー・クローネ』は合議制なので、今のクランハウスだと、それぞれの担当エリアで個別に出禁設定する事が可能だ。
今回はプレオープンなので、期限はプレオープンが終わるまでで固定。出禁の条件は、基本が“天秤にして断罪”の神にアウト判定される行動、各チェックポイントに存在するアウト選択肢を選ぶの2点。
後は個別に追加する感じだ。なお私の所では、一定以上の大きさの網や箱、袋、馬車の本体等の持ち込みを禁止させてもらっている。何故ならちゃんとエリアを回る路線バスならぬ路線馬車は運航しているし、インベントリには生き物が入らないからな。乗馬と、外から中身が見える船型の乗り物はいい。ギリギリ。
『……まぁ特色が出たのは良いんですが、何故私の所にはこれでもかと希少種族が集まったのか』
『元から絶対に緩くない防衛態勢だったのが、更に気合入れる事になったもんなー。おっつかれー?』
『どう考えても~、その場所の特色というか~、エリア主に近い人たちが移住して来てるのよね~』
ちなみにどうしてもアイテムボックス等、生き物が入る大容量の入れ物を持ち込みたい場合は、入口で預かってエリアを巡ってもらい、外に出る時に返す事にしている。もちろんその荷物に危険物が仕込まれていたら一発出禁だが。
あと出禁ではないが、クランハウスへの来客用通行証(=スタンプカード)を紛失した場合は、例外なく最初からだ。もちろんこちら側で突破者の記録は取っているが、それはそれとして詐欺をする奴はいるだろうというか、いたからな。もちろんそいつらはその場で出禁の上“天秤にして断罪”の神殿に連れて行った(強制)が。
それでいくと、移住してきた住民が多いって事で“天秤にして断罪”の神の神官さん達が来て、クランハウス内の条件付き解放されている部分に神殿を建ててもいいかって聞きに来てくれたのは助かった。どっちかというと交番ではなく裁判所だからそんなに数を建てる訳にはいかなかったが、しっかりした物を作ってほしいと建材を寄付させてもらったからな。
『あのな「第三候補」、たぶん各エリアに1つは“天秤にして断罪”の神の神殿があるのはかなり多い方だからな』
『知ってますよ。『スターティア』ですら神殿そのものの規模はともかく、数は1つだったじゃないですか』
『それだけ気にかけてくれてるって事よね~。ありがたいわ~。悪い人がたくさん寄ってきそうって思われてるのもあるんだろうけど~』
まぁ、それはな。うん。
ただ神殿の近くというか、神殿が立派だとそこに滞在する“天秤にして断罪”の神の神官さんも増えるし、人数がいれば見回りもしてもらえる。絶対にどう頑張っても問題がある奴が飛び込んでくるんだから、絶対的に助かるんだよ。
……流石に竜都と同程度の規模と数だって聞いて、流石にそこまでは……いかいないと、いいな……? と、目を逸らす事になったが。
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