第2799話 結び:家庭内糾弾
そこから更にリアル1週間が経過し、9月の終わりが見える頃には、だいぶ引っ越し先こと『アウセラー・クローネ』の新クランハウスの建物も揃ってきた。なお、まだエルルとサーニャは帰ってきていない。
3週間目の時の食事会以降手紙を出す頻度を増やしているし、その時に話をしながらでもじっと視線を向ける、という事をしてみた結果、どうやら結託しているのは
だから、そこからリアル1週間、内部時間1ヵ月は手紙を出すに留めたんだよな。一応。可愛い末っ子として大人しくしていたんだよ。
「そういえば、お父様」
「どうした」
「ルミルちゃんの直属部隊の隊長を引き抜きにかかっていると噂で聞きましたが……本当ですか?」
「ぐっ」
「呑み餓える異界の禍王」撃破からリアル4週間後。前回と同様参加した家族団欒の食事会の途中で、話の手番が回って来たところで、
うん。流石に多勢に無勢な上に、結託しているのが男性陣だけって事で、こっそり相談してたんだよな。もちろん
ちょっとしょんぼりしてみせて、今どこにいるのかという知らせすら来ないんです……。とも付け加えたが、何1つ嘘は言っていない。実際そうだろ。情報封鎖してたじゃないか。私の所には何の知らせも届いてなければ連絡も来ていない。こっちからの連絡だって届いているかどうか不明だ。
「あら、私は『勇者』としての功績をもって1番隊の隊長と副隊長に据えようとしてるって聞いたわよ?」
「まぁ……。何か褒章を用意しなければならない、とは聞いていましたが。その式典の準備に時間がかかっているのだとばかり思っておりましたわ」
「……私の直属部隊の所属ですのに……」
ここぞとばかりにハイデお姉様と
もちろん他の女性陣にも話は通っているので、視線が一気につめたーくなる。なお
だが何とか立て直したらしい
「……間違っても、何かを強制する事はしていない。連絡を取らせないようにしている訳でもない。連絡が来ないのは、理由があるからだろう」
ほーん?
白を切る、と?
「そう、ですか」
「うむ。だから――」
「私、いつの間にか2人に嫌われてしまったんですね……」
「!?」
今度は零れそうなほど目に涙を溜めて見せる。流石にぎょっとした顔になるのは結託していた数名だが、白を切るなら相応の対応をするだけだ。
「ま、まさかそんな事がある訳がないだろう」
「でも、強制も連絡の途絶もしていないのでしょう? という事は2人が連絡を無視しているという事では?」
「いやっ、そうは……」
「それ以外に何があると言うんですか……? ……すみません。途中ですが、部屋に戻ります」
「いやだがっ……!」
「お父様……?」
「可愛い妹を、泣かせたわね?」
「あ、な、た?」
なお今更だが、世代に格差があるからか、そういうものって事にしやすかったからか、最初の大陸の竜都にいた皇族は普通に現代の竜皇様を「お父様」と認識し、そういう風に付き合うようにしている。
まぁ、曾祖伯母とか呼びにくいにもほどがあるしな。私っていう完全に血を継いでいるのに実質養子っていう超例外もいるし。複雑だが血を引いている「家族」には違いないから兄弟姉妹でいいじゃないか、になった訳だ。
ただしその団欒は、私が顔を伏せて退出した事で大変な事になっているが。ま、正直言って自業自得だ。私がしょんぼりして見せたところで、素直に答えてればよかったのになぁ?
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