第2798話 結び:隠し事
予想外の爆弾が遅れて発見され、ちょっと……いやそれなりにバタついたものの、それでも引っ越し後のあれこれは順調に進んでいたんだ。何かいつの間にか魔兎族から移住者がいるとかいう話になって、そこから色々な種族が移住してくるつもりらしい事を知って、建てるものや整備する土地が増えたりもしたけど。
なお、流石にちょっと「個人が集まった組織」の規模ではなくなり、クランハウスというよりメインメンバーの領地だな? になって来たので、その辺一応
……そのついでに聞いてみたエルルとサーニャの現状についてはスルーされたけどな。そろそろ内部時間だと3ヵ月経つんだが?
「というかそもそも、聞きたい事があるから謁見の都合をお願いしますという手紙だったのに、先して返事が来た時点でおかしいんですよねぇ……」
内部時間月1の家族(皇族)による食事会は最初の大陸の竜都だしな。そもそもイベント中は食事会を断る事もあったから、たぶんもう内部時間半年以上は竜皇国の首都に行ってない。
もちろんその食事会でも探りを入れようとしたんだが、どうも皇族が数名から半分弱結託してその話をさせないようにしている空気があるんだよな。流石生粋の皇族というべきか、それともしっかり上に立つ者をしている人達というべきか、結託されると私1人じゃどうにもならない。
カバーさんなら何とかなるかも知れないが、私的な食事会だから部外者厳禁なんだ。まぁそりゃそうだな。皇族ってだけで、家族団欒の時間ではあるんだし。
「……そろそろ泣き落としも手段に入れるべきでしょうか」
エルルとサーニャがいなくて寂しい、としょんぼりして見せれば、もしそこに関して何か隠し事をしているなら大ダメージは免れない。私は私が可愛い事を知っているからな。何しろ【成体】になってもまだ普通の部屋に入れる大きさなんだから。竜族の平均からすればかなり小さい。
魅力ステータスの高さも、普段はある程度自力制御している上に制御用装備を付けているから無差別魅了テロ状態になっていないだけで、自力制御している分だけでも開放すれば相当な威力が出るだろう。特に、罪悪感を抱えている相手なら。
結局引っ越し当日まで帰ってこなかったから、2人の部屋に関しては、とりあえず部屋の中の物を全部持ってくる事にしたからな。基本は竜族部隊の同性の人に任せたし、最終確認はソフィーネさんとシルキー達がやってくれたから、私は見てないけど。
「その上で部屋そのものに鍵をかけて「利用不可」の札を下げておきましたから、もし何か隠し棚とかがあっても触られる事は無い筈ですが」
サーニャは無いだろうけど、エルルはあるかも知れないからな。念には念を入れておいた。だからたぶん、引っ越しの時に本人がいなかったから大事な物を紛失した、って事は無い筈だ。
だが実際ちゃんと全部部屋の物があるかどうかは、本人に確認してもらうまで分からないからな。荷物は2人の部屋になる予定の場所に運び込んであるけど、荷解きもまだのままだし。
「そうですね。とりあえず、問い合わせの手紙の頻度を増やす事にしましょう。そして文面から読み取れる寂しいの割合をだんだん増やしていきましょう」
今は内部時間2週間に1回だが、これを1週間に1回にしよう。最終的には4日に1回、リアル毎日に1回だ。……いや? ニーアさんに手紙を預けておけば、毎日手紙を出す事も出来るか?
一応確認して、出来そうだったらやってもらうとしよう。手紙の頻度の上げ方についても相談するか。ニーアさんはそういう礼儀とかに詳しいからな。無礼にならないギリギリを攻めて行こう。
さーて、どこまで
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