第2793話 結び:引っ越し先
「「第一候補」」
「なんであるか、「第三候補」」
「なんであるか、じゃないんですよ。何ですかこの無茶苦茶な数の「異空の箱庭」は」
「いやそれはそうだけど「第三候補」の数もあれじゃね?」
「私は島にボックス様の本殿がありますし」
で、リアル翌日の夜。『アウセラー・クローネ』のメインメンバーだけではなく、所属している
私はまぁ元々、コトニワの「庭」を完全再現するって目標があった上に、フリアドで仲間が増えて友達や後輩が増えて、精霊獣っていう可愛い枠が増えて牧場が増えてお客さんが増えて、それぞれのテーマ別エリアみたいなのを作りたくなっているんだから、そりゃ集めるだろって話だ。
ただ、そんな私に迫るどころか完全に追い越してる「第一候補」はどうしたっつー話だよ。御使族として動いている以上、ボックス様をピンポイントで信仰してた訳じゃないだろうに。
「まぁ、地道な努力の賜物であるな。というより、全員我が思っていたよりも数を揃えていると驚いているのであるが」
「そりゃぁまぁ、なぁ?」
「中を組み替えているだけでも楽しいわよね~」
「クカカ! 鍛錬には色々な地形が必要でのう!」
ボックス様は最高だからな。
というのはともかく、実際にこの場に出せば、部屋が半分ぐらいは埋まるんじゃないかという数の「異空の箱庭」がある事が判明した。それが分かって共有されたところで「第一候補」が取り出したのは、大きな方眼紙だった。
薄くあちこちが色分けされているが、これはどうやら地図らしい。そう、引っ越し先の。まぁ「異空の箱庭」を全力で使うのなら必要か。今使える数の半分でも大変な事になるだろうし。主に土地の増え方が。
「まぁ、事前確認の要綱で想定できるように、この神器を使って土地を広げ、必要な設備を作っていくことになるである。ただこれまでとは違って地続きであるからな。外からの防衛と、お互いの領域への出入り。その辺りの相談をする必要があるであろう」
「それはそうですね。道にするつもりの所に山を作ったりしたら喧嘩ですし」
「山。いやまぁそりゃ防壁を後で作るよりは確実だろうけども、スケール。ん? いや待てそれぐらいの規模で考えていいのか?」
「私は~、森は作るつもりだったわよ~」
「土地では無くて通行権にならんかの? あちこち出入りする方が楽しそうじゃ」
「辻斬り以外の何物にもならないので却下で」
「徘徊ボス化すんのは流石に止めてくんねぇかじーさん?」
「……安全地帯って何だったかしら~」
「なんじゃい。そこまで見境なく勝負は吹っ掛けんわ」
「う、む。ただ、一ヵ所に留まってくれている方が防衛的に助かるであるからな」
「おぬしもか「第一候補」」
「……今までのあれこれを考えるに、否定は出来ぬな、と、言わざるを得ぬ」
そんな会話で「第二候補」が不貞腐れるというあれもあったが、それは今までの行いなのでさておき。
どうやらざっくりのエリア分けで、「第一候補」を中心に、南北に私と「第二候補」のエリアがあり、そのさらに外側に東西方向で「第四候補」と「第五候補」のエリアがある感じになるらしい。
まぁ防衛的にも外との交流的にも妥当だろう。図書館は私のエリアにあるが、限りなく「第一候補」のエリアに近い所に設置して、空間的な防御は継続する事になった。
「そして、ウーゼル島にならい、それぞれのエリアで通行許可を取らねば奥に進めないようにしようと思ってな」
「……まぁ、戦闘力を高くしようと思うと、制御力は必要ですからね」
「そのまえに人柄の判断を挟むって訳だな!」
「人を増やすとしたら、どうなるのかしら~?」
「適性を見てであるが、恐らく更に外側に居てもらう事になるであろう」
なおウーゼル島にならう、と言った通り、「第一候補」は「異空の箱庭」で大きな湖を作り、その中心に神殿を設置するつもりらしい。後は儀式的な都合で、東西南北真っ直ぐ光が通るようにしてほしいとか、別の角度の光は塞いでほしいとか、いろいろ注文があった。
まぁそれをやったらクラン及びその土地全体に良い効果があるんだから、それはいいんだが。その条件さえ満たせば他は好きにいじっていいなら、色々遊べるしな。
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