第2790話 結び:今後の予定

 日中はそのまま生産作業に費やした。何しろ異世界のお土産(素材)にヘルマちゃんとアリカさんがテンション限界突破しちゃって、装備の修理が改造になってたからね。流石に装備無しで異世界には行けない。

 まぁ、消耗品をこれでもかと消費したからな。特に料理。お菓子籠まで含めてほぼ空っぽってどういう事だ。いやまぁ盛大に時間加速がかかってたからだし、途中で異界の大神の分霊に食べさせてたからなんだけど。

 それに一旦戻って来たうちの子曰く、どの異世界に行っても荒廃具合が酷い事になってるらしい。ボックス様と分霊の世界以外も? と思ったが、そうだな。どっちにしろフリアド世界に来てるんだから、事情的には似たようなものだな。


「さて、まずは集まってもらって感謝するである」


 という訳で、久々に全力も全力のフルバフ状態でまず倉庫の食べ物素材が半減するまで料理を作りまくり、次にこちらは素材が無くなるまで土壌改良とかのお札を作りまくった。その次はポーションで、その途中で日中のログイン時間を使い切った。

 で、夜のログイン。これは時間通りだったので、ドレス鎧ではなく普段着のドレスを着てクランハウス中央、「第一候補」の島へ移動だ。なお、エルルもサーニャもまだ帰ってきていないので、カバーさんとニーアさんがついてきてくれている。


「まぁ大体は聞いていますしね。色々理由があるのもざっくり」

「しゃーねーわな? 巡礼はそりゃそーだし、広域探索に至っちゃようやくかよって感じじゃね?」

「流石に~、巡礼者を全員受け入れるだけのキャパシティはないわね~」

「鍛錬の時間が減るのは困るわい」


 若干一名いつも通りだったが、いつも通りなのでスルーして。話の中身としては事前に聞いていた通りだ。

 そして私が何となく思い当たる節があったのは正解だったらしく、「膿み殖える模造の生命」の時の報酬、あの時の権利書が使える場所が、最後の大陸だったらしい。

 まぁ正しくは取り返した土地であり、元の特徴が精霊によって工事が行われた結果、範囲がちょっと分かりにくくなっていたとの事。まぁでも、最後の大陸に入ってからずっと復活レイドボス戦だったしな。時間かかるのは仕方ないだろう。


「他にも諸々場所を変えた方が良い理由が出てきたであるし、異世界への道が開いたという節目でもある。ここが機である、と判断した故、こうして全員に相談した訳であるな」

「まぁ、巡礼者への対応で忙殺されるのはちょっと困りますし、そもそも実質実験とかが出来なくなりますからね」

「巡礼者に紛れて不届き者も来るだろうしなー? あと、調査協力って絶対余計な事しようとする奴が出るだろうしなー?」

「隔離にも限界があるわよね~。わざと責任問題にしようとする人も出るでしょうし~」

「かといって、門前払い出来んのが巡礼と協力じゃろう? 混ざられるのは厄介じゃのう」

「懸念としては大体そんなところであるな。だからこその大規模転居であるが」


 そこに意見の相違は無い。という事を確認しておかないと、後で色々面倒な事になりかねないからな。地味だけど大事な事だ。

 で、そうやって大きな方向性を確認してから、どの設備を残してどの設備を持って行くか。私だと畑や果樹園、「第四候補」だと工場、「第五候補」だと酒場なんかをどうするか。そういう細かい部分の話し合いだ。

 クランメンバー専用掲示板にも書き込んであったけど、私達クラン『アウセラー・クローネ』のメインメンバーは1人1柱、異世界の神の分霊を連れて帰る事に成功していたらしい。その神がいる施設は動かせないが、外に出せない秘密は守らなきゃいけないからな。

 ただ。


「ちょっと思ったんですが、施設というガワを残したところで、その中身である私達に付いてくることを決めた分霊の方々が、素直にその場に残ってくれますかね?」

「まぁそれはそうであるが、残したという建前は必要であるからな」

「建前って言いきったよこのリーダー。そんな気はしたけど!」

「まぁ~、そうなるわよね~」

「クカカカ! 立場が上の相手と付き合うのも大変じゃのう!」

「一番どうにもならなさそうなのは「第二候補」のところであるぞ?」


 こら、目を逸らすな爺さん(アバター)。

 島のほとんどが闘技場って以上、私達の中で一番気楽に移動が出来る立場なのはいいが、高みの見物なんてさせないからな。何の仕事を振ってやろうか。

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