第2774話 73枚目:加速結果
踊りながら掲示板を覗いたりする限り、奇跡を願ったり神の力を込めたりした素材を使って建築を進めると、目に見えてステージボスへのダメージが増えるようになったんだそうだ。
影響力の勝負、とするなら当然なんだが、ここまで効果があると、むしろ突入直後からどれだけロスをしていた事になるのか、という話になっているらしい。……まぁ、そうだな。砦を作っては突っ込ませていたからな。
あれが全部維持されていた前提だとするなら、確かに「こちらの空間」は想定を大きく下回っていたことになるだろう。
「とはいえ、あの砦を飛ばすのも、盾として及び休憩として有効でしたし……」
あそこで少しでも休んでないと、被害が跳ね上がっていた可能性が高いからな。第二形態の攻撃は苛烈だったから。
さて私が主に踊って領域スキルの強度を上げている間も建築は進んでいる。そして当然、「吞み餓える異界の禍王」の内部空間へ突入した人達も動いている訳だ。
どうやら吸い込みよりステージボスの召喚を優先するのは、「こちらの空間」の強度が異界の大神の力の強さを上回っている時の行動パターンらしい。相変わらずこちらから見える体力バーは半分から動かないが、砦の規模が拡張されていくと吸い込み行動をするようになったからな。
「お、っと?」
ぐら、と揺れが伝わってくる。まぁそれでも踊りをミスする事はしないが、それはそれとして非常事態だ。なので素早く次の節目で踊りをフィニッシュする。何があった? たぶん内部空間を徘徊してる方の「吞み餓える異界の禍王」の体力も最後の1本が半分になったんだろうけど。
やっぱり踊ってるとある程度スタミナを消費するからな。今は【皇竜の鼓舞】だけとはいえ、領域スキルに回復する分を突っ込んでいるから、無限に踊れる訳ではない。少し量を調節すればすぐ回復する程度だが、そこの違いは小さく見えてそこそこ大きいから。
もちろん演奏していたりライト振ってたりしていた人達も既に切り替えて、趣味もとい儀式補助のあれこれをしまって臨戦態勢だ。揺れはそこそこだったが、この場所で揺れが伝わってくるって時点でおかしいからな。
「全体連絡! 「吞み餓える異界の禍王」の内部空間に突入していた
で、回って来た情報がこれだ。強制退去と来たか。……ちょっと意外だな? てっきり内部と外部で連携しながら、異界の大神の力と魔族の王の力を同じぐらいのペースで削っていくんだと思ったんだが。
……もしくは、内部の拠点を一度一掃する方向の妨害系ギミック、って事だろうか。再突入できるならその可能性があるな。素直に攻略させろと。
ただ朗報もあった。どうやら内部突入組は探索を進めていたのだが、どうやらその中にサーニャも混ざっていたらしい。そして、徘徊を続けてギミックを解くまでまともなダメージが通らない筈の、魔族の王型「吞み餓える異界の禍王」に、全力の一撃を叩き込んだんだそうだ。
「その結果、ごそっとたくさんのスキルと異界の大神の力が飛び出してきた、と?」
「そのようですね。一部はその場で「異界の大神の小さな像」に変わったとの事で、やはり『勇者』の攻撃は非常に有効なようです」
で、その中に私が持っていかれたスキルも入っていた。しかも【竜身魂】と【王権領域】の2つがだ。
「……。【生命力・極】と【調律領域】は、別の場所って事でしょうか」
「だと思われます。他にも数名、神の加護が薄いか汎用性の高い、領域スキルを含むスキルが確認されていませんので、どこかに組み込まれている可能性が高いですね」
上手くいかないもんだな。
ま、それでも種族スキルであり、ステータス補正のメインとなるスキルは戻って来た。それに【王権領域】も展開できるようになったんだから、更に加速は掛けられるな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます