第2763話 73枚目:激化理由
さて、そうして数個分の、神の力が込められたアイテムというか例の球を使ってみた結果。
「まぁスキルが戻ってくるのは思ってたからいいとして」
「異界の大神の力も回収対象になってんのもいいとして」
「そりゃ来るよなぁとは思ってたけど」
「思っていたより酷くない? と」
「そんな気はしましたけどね。頑張って防衛しましょうか」
初撃で持っていかれたスキルが出てきた他、1つだったが、異界の大神の力が詰め込まれたと思われる球体が返ってきて、ちょっと最前線が騒然としたのはともかく。
当然ながら異界の大神の力が入った球体はこの砦(完成した)まで運ばれて、領域スキルの中に守られている訳だが……滅茶苦茶に攻撃されている。出現した全てのステージボス達に。
掲示板を見る限り、何をやってもヘイトが取れないのだそうだ。逆に言えば攻撃し放題なんだが、やっぱり種別がレイドボスだけあって、体力はそれなりにある。そして。
「観測班より報告、「吞み餓える異界の禍王」から自発的なスキルの分離が確認されました! また今回ダメージとは、異界の大神の力の残量である事もほぼ確定、回収した力を奪われると回復する可能性が高いとの事です!」
「だからさぁ」
「ラスボスとはいえひどない?」
「はよひたすら殴れるようにならんかな……」
「ここでも燃やすのが最適解?」
「どうだろ、それだと回収できんし」
「回収は出来ればやるぐらいの方がいいでしょうね。そもそも、既にある程度は分霊や例の鍵の形で回収できていますし」
うん。あの灰色の鍵、持ってる数に応じてヘイトを稼ぎやすいんだってさ。まぁそれ以上に神の力が込められたあの球で回収できる量が多いから、ステージボスが全力でこっちに向かって来るみたいだけど。
まぁでも、攻撃し放題な以上は後ろから殴りまくればいいだけだし、壁や罠といった設置型の魔法も一切警戒せずに踏み抜いてくれるそうだから、ボコボコに出来るという意味では楽だろう。
いくつかは領域スキルが戻ってきているから、この場所を支える人数も増えてるしな。それに『勇者』の敵味方識別付きの攻撃でダメージが通るんなら、領域スキルの範囲に収めたらそれでもダメージが入るんじゃないかって検証が行われている筈だ。
「全体連絡来ました。領域スキルによる「吞み餓える異界の禍王」のスリップダメージを確認。ただしダメージの入った範囲からモンスターが出現し、領域スキル保有者を最優先ターゲットとして行動する模様です」
「まぁ、でしょうね」
「ヘイトの事を考えたらそれはそう」
「真っ直ぐ向かってくるなら罠に嵌め放題だろうなぁ」
「それこそちぃ姫の壁の迷路とかすごい事に……そういやここ精霊出てこないんだっけ」
「出てきませんね。やっぱり世界の果てか外なんでしょう」
だから余計に手数が足りなかった訳なんだが。まぁ仕方ないな。精霊は世界の中にいる存在だ。それを外に連れ出しているのだから、動けなくもなるだろう。そもそも、場所によって精霊の種類や数が変わるから【○○精霊魔法】は威力の上下が激しいって話になるんだし。
まぁ球の数には限りがあるし、ずっと使える手段で削れるならその方がいい。それに一気に削れるのが分かったし、ラスボスに残り体力に応じた攻撃パターンの変化や特殊行動が無い訳がないからな。
確かに「第一候補」がいる別動隊とは分断されているが、分断されてなかったら脱出の難易度が跳ね上がっていた可能性がある。それに、領域スキルの数が私より多い「第一候補」があの初撃を受けていたらどうなっていた事か。
「まずは残り体力9割ですね。……流石に1割ごとに特殊行動や行動変化があるとは思いたくないですが」
「ラスボスだからなー」
「やらかしかねないのが……」
とりあえず考えるべきはそっちだろう。本当にもう、何というか、フリアドの運営だからな、としか言えないが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます