第2725話 73枚目:変化
私が窓から脱出して、それでも思ったより時間が経ってなかったらしく、3時間が経過した。
「ここにきて、扉が罠というのはいかがなものかと思うである」
「全くです」
なんと、ここでようやく「第一候補」がこっちに来た。まだ来てなかったのかとびっくりだよ。もちろん窓の前からどいてもらって、私が外から窓枠ごと壊した。「第一候補」は【人化】してるとガタイが良いけど、【人化】を解くと動けないからな。
オートマップの共有は出来るとの事なので、司令部に合流する「第一候補」を見送って別の方向へ移動。立体パズル(罠)を解除して鍵を回収しつつマップを埋めていく。
マップリセットがされてからの初期地点のメモも共有されているんだが、とりあえず今の所それに法則性のようなものはないらしい。一応、その範囲の外に行くように探索してはいるんだが、特に変わったものは見つかっていない。
「まぁだいぶ鍵は溜まってきましたし、輪っか付きの方はベルトから下げて通路の真ん中を通っても自動で鍵が使われるようになりましたが」
もしくはここでしっかりある程度の鍵を確保しておかないと、後で死ぬほど使って足りなくなるとかだろうか。あるいは呑気に鍵集めをしている暇など無くなるとかか。
どちらにせよ探索を進めて情報を集めないとどうにもならないのは変わらない。それにこの鍵だって灰色であり、窓を出してこっちに
いつになったら状況が進んだろう、と思ったところで再び強い揺れ。立体パズル(罠)を解き始めた直後だったから、ちょっと待て、と思う前に実質強制ミスさせられる。
「いえ大丈夫、確かこっちでも失敗のペナルティはモンスターが出てくるので変わらなかったは 」
ず、という最後の一音は、息とともに飲み込む事になった。
何故なら。
ゴ、ガン!!
とすさまじい音を立てて、ギリギリ旗槍の穂先を叩きつけるようにして逸らした大質量がすぐ右側の壁に突き刺さる。ぶつかるじゃない。突き刺さるだ。
インベントリからの抜き打ちを習得しておいて良かった、と思うその目の前で、立体パズル(罠)があった場所に出現したそれが、大質量を回収する。
真っ直ぐ撃ち出し、まっすぐ戻す。それだけの機構が、巨大である事とこの場が狭い事で、ほぼほぼ必殺の攻撃と化していた。
「――――っっちょっとペナルティが重くないですかねぇっ!?」
即座に撃ち出される次の攻撃を、今度こそしっかり踏ん張って力を込めてしっかり逸らす。先程よりも遠い位置に逸らした大質量は、再び壊せない筈の通路の壁へと突き刺さった。
それは形としては槍になるのだろう。正面から見ると十字を2つ重ねたような形になるそれは、太さが通路ギリギリいっぱいだ。マップ変化が起こる前は十字路だったのが、今は正面と右側に通路が繋がる角となっている。
そして、その正面にそいつがいて道を塞いでいるから、逃げ道は右にしかない。のだが、この大質量の攻撃では逃がしてくれないだろう。むしろ逃げようとした瞬間に潰される。
「つーかどっから出てきやがりましたか、この、機構式巨獣槍みたいなの……」
思わず口調も崩れようってもんだよ。
ほんと、どっから出てきたんだ。この機構式巨大槍……あるいは、パイルバンカー。仮にも屋内で使ってい兵器じゃないだろ。
しかし少なくともこんな巨大兵器の存在は聞いてない。あれか? マップリセットの瞬間にミスったから何か特殊フラグ踏んだかバグったか?
「とはいえこれは流石に細剣では受けられませんし、逸らすのも割と全力な訳です――がっ!」
さーてどうすっかなこれ。このまま右に逸らし続けたら軸が歪んで無力化したりしないかな。キツいか。
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