第2712話 73枚目:対処法
そうやって大部屋の外から観察している間も、どうやら【鑑定】系スキルは通らなかったらしく名称は不明だが、たぶん魔族の王だっただろう推定ラスボスとの戦いは続いている。若干戦いになってない気もするが、それはさておいて。
どうやら浮いている推定ラスボスの周囲にバリアのようなものがあるらしく、推定ラスボスから一定距離で全ての攻撃が反射されるようだ。なおかつ推定ラスボスが、反射された相手を優先的に結構な火力のある魔法で攻撃してくるらしい。
部屋の中央から動く事はまだなさそうだが、時々、杖を持つ左手と同じく装飾過多な右手を振ると、部屋の床が一気に複数光るらしい。雑魚召喚なのだろう。
「しかしあの余裕かつこちらを見下した顔が腹立ちますね」
「シンプルに頭が高いよね」
「世界を支配する王を自称してるからな」
とはいえ、これは第一段階の行動パターンだろう。具体的にはあの全ての攻撃を反射するバリアみたいなものを突破するまでか、別のギミックを解くまでだ。しかし【鑑定】系スキルも通らないとかどうなってるんだろうな?
反射してるんだからどこかに吸収してるって事でもないだろうし、別の空間にしまってから戻しているならもうちょっとタイムラグがある筈だ。大部屋の中まで届いているかは分からないが、空間自体もだいぶ正常化している筈だし。
じゃああれは何だって話なんだが、だからこそ色々な攻撃が絶え間なく飛んでいるんだろう。道連れ能力持ちのモンスターを撃破しながら、少しでも情報を得るために。
「足元まで覆われているから、あの靴にも攻撃が通らないようですね。かといって全方位から囲んで叩いても広範囲攻撃が返ってくるだけ、本体からの魔法は回避推奨の状態だと、うかつに叩く訳にも行きませんか」
「あれぐらいなら切り払えない?」
「召喚者にはちょっとキツいだろ。基本人間種族だし」
嫌味では無くてステータス的な問題でな。後は装備の耐久度的な意味でな。ほらここに来るまでに結構戦ってきたしその上で本格整備してる暇は無かったから。装備の耐久度は皆それなりに心許なくなってるんだよ。
もちろん応急修理はしてるだろうが、威力の高い魔法を相殺するとどうしても装備の耐久度も相応に減る訳でだな。まだ第一形態なのにメイン武器が壊れるのは避けたいって思うのは普通だ。
……と思ったんだが、誰かが司令部に確認したところ、魔法を相殺すると更に威力の高い魔法が飛んでくるらしい。それを相殺すると更に威力の高い魔法が飛んできて、何ならホーミング能力までついてくるんだそうだ。
「……。姫さん、ちょっとやってみていい?」
「相殺をですか?」
その時はあんまり相手をしてられないっていうので、通路まで逃げたらしい。大部屋から出てから相殺するとお代わりは止まるらしいので、そこで数人がかりで相殺したそうだ。
わざわざ召喚モーションがあるところから分かる通り、推定ラスボスと道連れ能力持ちのモンスターは連携してくる。なおかつ見た目は通常のモンスターで種族はごちゃまぜでもステータスが高いらしく、割と器用に推定ラスボスの攻撃を避けるのだそうだ。
だから推定ラスボスの攻撃は回避推奨、邪魔な道連れ能力持ちのモンスターを優先的に処理しつつ、あの必ず攻撃を反射するバリアのようなものを解除もしくは突破する方法を探しているらしい。
「それもなんだけど、モンスターは避けるしこっちに当てに来るんでしょ? モンスターに当てたらどうなるかなって」
「モンスターを捕獲、盾として利用した事例もありますが、状態異常が入った形跡は無かったようです」
「……。それなら、部屋の外の奴に当てたらいいんじゃないか? それなら視線も切れる。敵味方識別が手動なら条件に入ると思うが」
ダメか。と一瞬思ったんだが、エルルからそんな追加提案があった。手動の敵味方識別とかあるんだ?
と思ったら、魔族や
ただ今回、一応は正当進化型の魔族の王で、普通に考えると一番魔法的に腕の立つ魔族の筈だ。……なら、出来そうだな?
「では、サーニャさんがホーミング性能がつくまで攻撃を反射し、それをターゲット変更アビリティで部屋の外まで引っ張っていく事にしましょう。外で戦ってモンスターを連れてくる人手も必要ですね」
そういう事になった。
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