第2706話 73枚目:広大ステージ
時間加速がかかった空間に突入してから、約6時間後。
『1時間ごとに発生していた空間の揺れの発生を確認できませんでした。よって現時点を持って「多数生物の立体パズル(罠)」の完全回収を達成したとみなし、中央方向への探索を再開します』
司令部更新の全体連絡スレッドにそんな書き込みがあって、それなりの人数の
なお最終的に「異界の大神の小さな像」は3個、「異界の大神の少し小さな像」8個という事になったので、17個分の「多数生物の立体パズル(罠)」が回収できなかったのではないか、と推測されている。
まぁそうだな。「異界の大神の小さな像」を10個あつめると「異界の大神の少し小さな像」になるんだ。その「少し小さな像」を10個集めたら、まぁ順当にいくなら「異界の大神の像」になる筈だよな。
「まぁもう一段階変化があって、他にもギミックがある、という可能性も、ゼロではないと言えなくもないんですが」
流石にこの、時間加速まで使った空間に突入してから集めなきゃいけない数が千個になるのは、ちょっときつい。だからたぶん、合計は百個でいい筈だ。
……まぁ、最大強化されたところから、2割は切ったんだから、たぶん大丈夫だと思いたいところだな。「第一候補」が中心になって、生物の立体パズル(罠)シリーズを解除して出てきた飾りや道具で仮に祭壇を構築してるみたいだし。
さて中央方向への探索を再開、という全体指示が出たが、やる事は変わらない。罠を避けて移動して、生物の立体パズル(罠)シリーズを解除する事の繰り返しだ。
「あの、まばらに罠がある、という状態が本来の仕様だったんですね。確かに密度が高いなと思いましたけど」
端を探して探索していた時の、こっちには何も無いよという気配がしていた辺り。あれがこの、城風ダンジョン(?)のデフォルトだったようだ。あれぐらいなら気にせず避けれるから大丈夫だな。
もちろんそれより密度が高い場所の方が圧倒的に多い訳だが、密度の高い方に進めば生物の立体パズル(罠)シリーズがあるので、回避さえできれば良い道しるべになる。回避さえできれば。
……まぁ何で罠の密度が高いかって言ったら、生物の立体パズル(罠)シリーズは、時間経過で周囲に罠を増やすって効果があるかららしいんだが。
「いやまぁ確かに効率はいいんですけど……」
私だってそりゃ防衛する時にそんな便利なものがあれば設置するが、対処するとなると本当に面倒だよな。数を回避する事で疲れは溜まるし、その疲れたところで引っかかるっていうのも普通に有り得る。
それに、端までの距離が相当にあった。「多数生物の立体パズル(罠)」はステージの端っこにあったのが確定して、回収完了したって事は、このステージの縁が分かったって事だ。
司令部ならそこから大体中心の位置を割り出してるだろうし、そこまでの距離もほぼ正解の数字を出すことができるだろう。が、それらしい具体的な数字はどこにも出てきていない。と言う事は。
「たぶん、まだまだ距離があるんでしょうね」
それを公開した場合、士気が下がるって判断したって事だ。
まぁ倍率が非常に高い時間加速がかかってるぐらいだから、時間がかかるのは当然なんだろうけど。そして司令部はそれを既に把握していて、休憩や交代のチーム分けは既にしてるんだろうけど。
窓もないから時間の流れが分かり辛いんだよな。それでもたぶん、3日っていう残り時間は、きっと少ない方に入る。何せ突入時点で最後のログインだったんだから。
「……これ、本当にクリア出来る前提か……?」
ちょっと素が出てしまったが、移動途中で周りに誰もいないので良し。
しかし流石に大陸全部最初からって事は無いだろうが、最後の大陸を最初からぐらいはあり得ると思ってるからな。
新しい聖地やそこを守る形の竜都。精霊さんによって取り返された土地と、そこに点在する防衛力の高い町や神殿。そうそう簡単に、最後の大陸がモンスターの、異世界と魔族の力を混ぜたものに染め変えられるとは思えないが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます