第2704話 73枚目:形と意味
そこから間もなくというか、分かれ道まで戻って選ばなかった通路を進んだ先で再び「多数生物の立体パズル(罠)」を見つけたので、その場で解除チャレンジしてみることにした。
解除の情報を集めているスレッドも確認したところ、どうやら最終的な形は全部同じになるようだ。それが様々な生物を寄せ集めて「凍て食らう無尽の禍像」の核が模していた推定“呑”むの姿をしているのはともかく。
この最終的な形が分かっていると、こういうパズルでは補正がかかる。要するに答えから逆算すればいいだけだからな。ステータスの補正が入るんだ。“理知にして探求”のところで散々やったからな。パズルは。
「それはともかく、まさかのノーミスで10分切りとか」
いやぁ制御訓練しっかりやってて良かったなっていうか、ものすごい質の制御訓練になったなって感じだ。もちろん神経はそれなりに使ったが、私でも解除できるって言うのは朗報じゃないだろうか。
さて自動発動まで残り5分ちょい。大半の
ただ、と、気になる部分があって、私はもう一度完成形になった「多数生物の立体パズル(罠)」を見る。へたりこんで手を上に伸ばし、顔を上に向けて、その顔の半ば以上と喉から胸部分までが大きな口と化した、餓えて乾いて堕ちてしまった姿の造形を。
「……やっぱり、【調律領域】の供給対象に出来ますね、これ」
まぁ、一応は神の像だ。それはそう。だが現在一番強く繋がりがあるのはレイドボスの筈だ。であれば、供給したとしてもそれは、レイドボスの糧になるのでは? という気がする。
気がするのだが……ここまでのボーナスステージが、な。最後の大陸に突入してからこっち、ずっと異界の大神の分霊の内、正常な部分を回復させる事でラスボスのリソースを削る形だったっていうのがな。
そして【調律領域】はボックス様の祝福で変化したスキルだ。すなわち悪の為の悪、他者の一切を顧みず損なわせる事を躊躇わない、そんなラスボスに対しては間違いなく敵認定が出る。すなわち、この目の前の像がラスボスに利する事しかないなら、【調律領域】による供給対象には出来ない筈だ。
「まぁ、ダメだった場合は素直に怒られましょう」
と言う事で、【調律領域】を小さく展開。目の前の「多数生物の立体パズル(罠)」を対象に、残り3割まで供給する設定で供給能力をONにする。
途端にごっそりと各リソースが3割まで減ったが、ここで更に大きな口の中に私仕様の総菜パンを放り込む。うん。放り込んだ途端に消えたな。そんな気はしたけど。
そのままぽいぽいと、主に例の煮込み肉を使った携帯食を放り込み続けていると、その内像に変化が出始めた。無数の生き物を寄せ集めていた形から、少しずつその種類が減っていったのだ。
「しかし必要な満腹度の回復量が大変な事になってますね。供給能力も開放している事を考えると、純粋にリソースの量なのかもしれませんけど」
こう、しゅるしゅると縮む感じで、雑に集めて捏ねられたような生き物の数が減っていく。携帯食を放り込んだ瞬間に縮むスピードが一気に上がるから、回復(?)させる事で変化が起こっているのは間違いない。
1分経過したところで思いつき、設置型の継続回復魔法を像と自分の足元に設置して、回復魔法の連打を加える。すると更に像が縮むスピードが上がったので、回復行動で合っていたようだ。
とはいえ流石に残り1分を切ったら退避しないといけないよなぁと思いつつ、せっせと像を回復させ続ける事3分。
[アイテム:異界の大神の小さな像
説明:異界の大神の姿を模った小さな像
これ単体で効果は無い]
「……何か出ましたねぇ」
いやぁ何でもやってみるもんだな。
とはいえ流石にここから他の「多数生物の立体パズル(罠)」を回復させるのは間に合わないから、カバーさんにメールを送信しながら一旦退避するんだが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます