第2684話 73枚目:捜索目標
かなり激しい戦闘が城中のあちこちで発生しているが、それでもやはりここまで来た
私は領域スキルこそ展開していないが種族特性は通常通りだし、そもそも魔視の強度をそこそこにしておけば、素のステータスによる視力の良さもあって魔法の起こりや罠が全部分かっちゃうんだよな。
分かっているならそれを潰すなり回避すればいいだけであり、各種システムアシストを生かしてそれっぽく動く事は出来るようになっているので、皇女という
「……ちぃ姫って耐久型のタンクじゃなかったかしら」
「狭い場所で回避盾してますね……」
『さっきから時々、発動直前の魔法叩き切ってませんかー?』
「いやー魔視って強いですねー」
「そういや先輩、魔力とか神の力とかみえるようになってたっすね」
中身の運動音痴が直ったとか改善された訳ではないんだが、動けるって楽しいな。何故現実ではこう、自分の足に躓いたり、何も無い所で滑ったり、特に出っ張っていない角に足先や手先をぶつけたりするんだろうか。自分でも謎だ。
遭遇して戦闘になって、無力化したりやり過ぎかけて慌てて回復したりした魔族の人は封印魔法をかけておく。こうしておけば色々な意味で安全だからな。それに戦闘が始まっても、封印された魔族の人を回収する
まぁ最悪、封印魔法さえかけておけばすべてが終わるまで放置でも構わないっちゃ構わないしな。今この場所だって、極論IFの過去なのだから。正史であるところの通常空間に影響する要素は少ない。
「あ、全体連絡っす! ゲートらしき魔法陣を発見、ただし守りが固く突破困難! 応援求む、との事っす!」
「大神の分霊の発見報告はありますか?」
「まだ無いっすね。たぶん見つかってない筈っす」
「ちぃ姫が何考えてるか当ててあげましょうか。もう既に分霊が取り込まれてる可能性あるって思ったんじゃない?」
「もしくはゲートに埋め込まれてるか組み込まれている可能性ですかね」
『それか、その辺りを調べている人でも見つけられない隠し部屋があるか、ですかねー』
何故か私の考え当てになったが、まぁ嫌な予感がしたのは確かなのでさておく。ただ、既に取り込まれているというのもそれはそれで詰んでいるんだよな。というか、取り込みが完了していたらこんな呑気に応援を要請している場合ではない。私ならカバーさんから直接ウィスパーで、特級戦力が即座に招集される筈だ。
だからと言って、ゲートに組み込まれてるっていうのもたぶん違う。組み込まれているなら、ゲートが発見された時点で大神の分霊も発見されたという情報が回ってくるだろう。
一番近いのはルチルだな。ゲートが見つかったのに何で大神の分霊が見つかってないんだ。確認されてる魔族の行動範囲的にも近くに居なきゃおかしい筈で、それなのに発見報告が無いって事は見つける難易度が高いって事だ。
「……隠密行動をしている状態でゲートの場所が確定できなかったのは、まぁ特殊な防御を張っていればあり得ます。しかしゲートの場所が分かった以上、近くにいるのは間違いないでしょう。そもそも中央に近い魔族の行動範囲は既に絞りこめていましたし」
にもかかわらず、発見報告が無い。
「捜索部隊にはエルルも、ルシルも、ルディルも入っています。もちろん探索を得意もしくは専門とする
嫌な予感、という程ではないが、違和感なんだよな。聞いている話の感じ、残っている空間はそう広くは無い。そして他の誰が見つかっても、エルルを見つけるのは無理だろう。
そしてエルルは
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