第2680話 73枚目:探索中
どうやらエルルだけではなくルシルとルディルも含んだ、特に隠密行動が得意なメンバーは今もまお……城のあちこちに散って行動しているらしく、合流はちょっと難しそうだ。
まぁ行動しながら少しでも他の人が動きやすくなるように細工してくれているそうなので、ありがたくその細工を利用させてもらいつつ探索に加わるとしよう。城を強制封鎖するのは最後の手段だ。出来れば脱出直前まで温存したい。
「まぁ私は目立たない方がおかしい格好してますから、最初から誰もいない場所に行くか、こうして静かに無力化するしかないんですけど」
ははは、ちゃんと素手での戦闘も訓練してるから室内戦闘も大丈夫だぞ。なんて思いつつ、埃をかぶっている資料室のような場所で何か作業をしていた魔族の人を締めおとす。皇女がやる事じゃないって? 仕方ないだろ近寄ったら状態異常が入る系の防御張ってたんだから。
城が広いと言っても私が単独行動する訳もなく、目立つ私をフォローしてもらう必要もあって、フライリーさん、ルチル、ソフィーさん達の5人で行動している。
「流石魔族っていうか、状態異常耐性はちゃんとしてるんすね」
「しかも、状態異常にかかったら感知する魔道具を一緒に持ってますからねー」
「魔力からしてかなり強力だし、状態異常にかからない相手がいるなんて思ってなかったんじゃないかしら」
「あら、あっちこっちに魔道具仕込んでますよこの人」
何? 珍しい相手だな。ここまで遭遇した感じ、自分の能力に自信を持ってて装備は杖1つみたいな人の方が圧倒的に多かったんだが。罠に気を付けつつ全部剥がそう。
なお締めおとして武装解除した後は、封印魔法をかけてから斥候組が作ってくれた回収出来る隙間に置いておく。流石に普通の生き物だからか重ね掛けからの圧縮は出来ないが、まず間違いなく解けない拘束って意味だと確実だからな。
そしてそうやってちまちま人数を減らしながら資料探しだ。いやーしかし、これで加速状態で4時間ぐらい経ってて3部屋目だが、その、まぁ、こう、やっぱり魔族は魔族だなと言うべきか。
「各種族の拉致計画からその被害者を「使った」実験計画とその結果がもうどこからでも出てきますねぇ……」
「生物兵器も一体どれだけ作ってたのかしら……」
「さっきも、渡鯨族のところでレイドボスになった肉腫関係の資料がありましたしね……」
「現時点だけで被害者がすごい事になってますねー」
「あっ、これたぶんあれっす、ワタメミちゃんとこに出てきた奴の記録っす」
まぁ、こんな感じでな。大分気が滅入るというか、殺意の加速がかかってるというか。締めおとして無力化するのを躊躇わなくていいのはいいんだが。
一応見つかった資料の内容は、場内探索報告用のスレッドに書きこんでいるんだが、他の場所も似たり寄ったりらしい。中には実験道具を収めた倉庫みたいな部屋もあったそうだが、明らかに拷問に使うような器具もあったそうだ。
リアルでいうホルマリン漬けになった「素材」が保管されている部屋もあったらしいし、何のつもりかわざわざ「剥製」を並べてある部屋もあったらしくて……かなり精神的にキツい。分かってたけど。
「なーんでここまでダメな証拠はあるのに生存者がいないんすかねぇ……」
「当然ながら物証を残す訳がないからですね」
「後は消耗品だからかしら」
「素材の管理費を削減したいのもあったみたいですー」
「生かしておいても状態は悪化するからでしょうか」
「地獄でもここまでじゃねぇと思うんすよ」
ほーんと、それな。
まぁ司令部もこういうのが出てくるのが分かってたから、最後脱出する時に派手な破壊をするようにしたっていうのもあるんだろうけど。
連合軍に花を持たせる必要がある以上、どっかで大火力をぶちかまして留飲を下げておかないと、ストレスがすごい事になりそうだし。
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