第2667話 73枚目:一時帰還

 一応言っておくと、ナージュの分霊入り核だった歯車(直径30㎝)が今回の報酬って訳では無い。これはオマケであり、ナージュの希望による別枠だ。

 では報酬は何だったかと言うと、そちらは加護だった。拳銃ではなくレイピアに対するもので、わざわざ歯車の形にして着脱できる形式にしてある。折っては打ち直す事で強化する方式だって伝えたら、これなら大丈夫だろとあっさりそういう形に変えていた。もはや何でもありか。すげーな年の功。


[アイテム:精霊竜姫のレイピア

装備品:細剣(攻撃+*20・魔攻+*15・命中+*15・会心+*10・攻撃速度+*10・一部スキル効果+*10・自動回復+*10・界外環境耐性+*10)

耐久度:100%

説明:神から与えられた金属を皇竜の鱗を使って鍛え上げられた剣

   精度と攻撃速度を重視して作られたもの

   弱点に対する攻撃の威力が大きくなる

   特殊な素材を使用した事で、世界の外という環境への耐性がついた

詳細:付与スキル【命中強化・大】【会心強化・大】【崩点撃】

   一部スキル効果対象スキル:指揮・エリアバフ・祝福/加護

   異界の加護:作壊鋼環(着脱可能)]


[異界の加護:作壊鋼環

説明:対峙した相手の構造を知り、破壊する方法を把握できる]


 …………。

 ヤバいのでは?


「幽霊状態でクランハウスに戻ってくる事になるとは思っていませんでしたが、これはそれ以上にヤバいのでは……?」


 そうなんだよな。

 まぁちょっとそんな気はしたんだが、どうかせめてもうちょっと図面を引くから確認を複製してみるから使ってみて数字を取りたい素材は何ですかと大変ぐずった()職人の人達から銃を回収し、にぎやかたのしーなーという空気でにこにこの顔布が残った修神おさめがみに見送られ、工場の敷地の外に飛び出したところで落ちる感覚があったのはいい。

 ただその状態で着地した先は突入した場所ではなく、うちの島にあるボックス様の神殿の入口前だった。留守番しているルイルが散歩していたので声をかけてみたんだが、反応が無かったので幽霊状態だと判明。


「カバーさんに詳細を確認してもらいたいところですが、流石に最前線にいるようですし。幽霊状態ではメールも送れないというか連絡手段が使えないようですし……」


 困った。と、とりあえず図書館に向かってみたんだが、こちらも中に入る事は出来なかった。うん。いよいよ困ったな。まぁ連絡出来ないのが仕様である以上、抜け道は許さないって事なのかもしれないが。

 とはいえ、と、大きな歯車を片手で持って、インベントリから紙とペンを取り出す。これは取り出せたし、書く事も出来るな。良し。


「この歯車が、異界の神の分霊宿る依り代だっていうメモは残さないといけませんし」


 もちろんそれ以外、今回のステージの状況も書き残すが。もちろん総力戦って事でルージュと双子は連れて行ったが、アリカさんとヘルマちゃんは残っているからな。

 歯車も全部終わらないと見えないままって訳では無いだろうし、それならこのメモだって残る筈だ。でないと、歯車の説明が出来ないからな。そして2人なら、何かしらの方法でカバーさんに伝えてくれるだろう。

 と言う事で手早くメモを書き上げて鍛冶場に移動。お、私がいない間もおしゃべりしながら仕事してるんだな。真面目~。


「あれ?」

「?」

「おねーちゃんがいた気がするの……」

「え? で、でも、今、最前線、の筈?」

「だよねぇ?」


 そしてヘルマちゃんの勘が良い。いるんだよな。見えないけど。

 とりあえず炉から離れた作業机、じゃないな。図面を引いたり休憩したりするための机にまずメモを置いて、その端を押さえる形で歯車を置く。


「さて、次は何が待っているのやら」


 で、置いて手を離した途端に落ちる感覚。まぁ転移なんだろうが。うちの島はしっかり空間対策しているとはいえ、大神が関与するものだと流石に無理があるよな。

 まぁでも、どう考えても次で最後の筈だ。と言う事は、いい加減分断されてそれっきりのうちの子と合流出来る筈。……どれだけ時間が経ったのか分からないから、不安でしかないんだよなぁ。通常空間準拠でも2日経過してるし。

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