第2651話 73枚目:原因判明?
〈――こいつだな。よくもまぁうちの奴らの大事な記憶を盗みやがって……〉
「ナージュさーん。空気が怖いでーす。雷でも落とすんですか」
〈落とさねぇよ。落とし前はつけるがな〉
ふふっ。危ない。ここでもまた突然の神罰執行未遂があるとか思ってない。いやほんとあっぶねぇ。ここでうっかり神罰執行されてたら、たぶん職人の人達の記憶もまとめて吹っ飛んでる。こっちの言葉は届く状態で良かった。
見た目ショ……うねんなのはそのままだが、空気の方は年季の入り方が違う。ちょっと空気と見た目で脳がバグりそう。フリアドの謎技術すごいな~(現実逃避)。
さてどうにか神罰執行は思いとどまってくれたナージュだが、相変わらずキレてはいる。まぁそれはそうか。私にはどうやって記憶を盗みどういう状態で持っているのか分からないが、背負っている唐草模様の布包みの中に記憶が入っているんだろう。
「ところでこれ、下手に刺激すると記憶に影響が出ませんか」
〈出るだろうなぁ。いっちょ前に人質でも取ったつもりか? このクソガキが〉
見た目クソガキなのはナージュの方なんだよなぁ(目逸らし)。
なおクソガキと称された泥棒コスの黒子はまだ元気に暴れている。ナージュは相当長生きしているようなので、大体の相手は年下でありクソガキだろう。なので実際の年齢と言うか、年齢依存の呼称は何の参考にもならない。
だが少なくとも名前の無い邪神の関係であれば、そういっているだろう。何なら止める間もなく神罰執行していたかもしれない。で、それが無いって事は、少なくとも邪神関係じゃないって事だ。
「で、これって一体何なんでしょう」
〈夢関係の
「いくら何でもやり過ぎでは?」
〈だからクソガキなんだよ〉
大変と辛辣であり口も悪いが、その見立てと分析は間違っていないんだろう。しかし思ってなかった相手が出てきたな。てっきり名前の無い邪神かと思ったら、他の
しかし完全に想定外、と思っている間に、ナージュから封印を解除して閉じ込めている泥棒コスの黒子こと、何らかの
大丈夫か、と思ったんだが、どうやらそうやって確認している間に
「では解放と」
なら大丈夫かな、と思って封印魔法を解除したんだが、そこから何があったかと言うと。
〈はっ!? あっテメ……!〉
「[シールキューブ]。推定記憶は頼みます」
〈おぉいっ!? 〉
まず暴れ続けていた夢関係の
もしかしたら憑依なり何なりするつもりだったのかもしれないが、私は自分に触れられる前に
慌てながらもナージュは何とか布包みをキャッチ。……中身が壊れたような音もしなかったし、たぶん大丈夫だろう。ちょっとナージュには大きいが、何とか抱えられたようで良かったな。
〈いいいいきなり無茶を言うな!?〉
「私他の物に触れないですし、もしうっかりすり抜けたら大惨事だなと思って。それに距離的にもそちらの方が近かったですし」
〈いやそれはそうだがな!?〉
そもそも布包みがナージュの方に放り出されてたんだから、ナージュがキャッチするのが正しいと思うんだよ。
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