第2648話 73枚目:最終結果

 まぁその後、もうちょっとわちゃわちゃしたものの、無事メーネから報酬を受け取る事が出来た。

 今回もまた報酬を受け取る事が退去のトリガーだったらしく、先にヘルタへお礼を渡しておいて良かったよ。受け取った途端に落ちる感覚があったからな。

 そして突入場所に戻ると、わらっと寄ってくる司令部の人達。……おや、いつもより人数が少ないか?


「どうやら突入したものの、今回もまた最低限のクリア条件らしいという人が多く」

「一部「抱き溶かす異界の絡王」の過去と思われる人物を発見した人もいたようですが、そちらの様子を見ていると町の防衛が難しいという事で」

「最終的に突入直後から外に打って出て、日中に邪神の眷属を確保。そのまま大神の神殿まで引きずって行って大神から報酬を貰い、一旦戻って来て情報を待っている方が多く」

「あー……」


 なるほど。メーネの救出が出来ないと、報酬はそっちになるのか。

 ただまだ戻ってきていないベテラン勢もいるとの事で、そちらはもしかするとメーネの救出が間に合ったのかもしれない。何せ名前を聞いた限り、探索能力の高い人と拠点防御能力の高い人の組み合わせだからな。

 とりあえず私が知り得ることを話すというか、途中からメールを書くだけ書いていたのでそれをカバーさんに送信し、司令部の人に共有されてから質問に回答する。そうだな。今回ちょっと救出対象が多かったし、防衛しながら潜入からの救出は知ってなきゃキツイな。


「ちなみに、大神からの報酬って何だったんですか?」

「町の特性にちなんでか、容量を大きく上げた水を湧かせる青い石でした。現地で水場に使われていたものの上位互換です」

「なるほど」


 現物、しかも神器じゃないなら、まぁ確かに最低限だな。というかここで大神からの報酬を貰っていたら、もしかしたら次のステージに挑戦できない可能性まであるんじゃないのか。こういうのって、大神というか元締めからの報酬は最後に来るものだろうし。

 まぁそっちの人達は青い石を使う事なく、大規模戦闘における防衛と、どこかに忍び込む必要があると察してそっちの準備をしているらしい。そうだな。最前線までこれる召喚者プレイヤーなら、火力は十分だからな。

 なら最低限ではない報酬、今回私が貰った報酬は何だったかって言うと、実は加護では無かったりする。まぁ真水に関する加護を貰っても、正直私からすればエキドナ様に願う奇跡の下位互換にしかならないからな。


[アイテム:潮風結晶

耐久度:Gi

説明:異界の神の力で作られた不思議な結晶

   海水から塩を取り出し、泥水から真水を取り出す力を持つ

   また不要物を取り除く能力から、浄化の力も備える]


 見た目は半透明な白い結晶、形は背の低い八角柱で、何かの台座のようだ。

 まぁ実際台座でもあるんだろう。何しろこの結晶を何らかの液体に入れると半分の高さの所で浮いて、その液体がどんどん真水に変わっていくと同時に、水に含まれていたものが上面に結晶化していくんだ。

 海水なら塩とにがりとミネラル、ジュースに入れたら果糖が結晶になっていた。泥水に入れたら泥団子が出来ていったのはびっくりだったな。ただ水でなければならないらしく、植物油にはそもそも沈まなかった。


「なるほど。なおかつその真水及び副産物には浄化の力が宿ると」

「あちらの神の力であるなら名前の無い邪神にも有効なのでは?」

「少なくとも力場の中和は可能かと」

「こちらでも有用であれば活用範囲が広がりますが」

「御使族の水に関係する神に仕える方に連絡を」


 なお、耐久度の所の表示で分かるように、もちろんこれも神器である。しかも塩を取り出せるという辺り、メーネだけではなくエーレも噛んでいる。

 町に長くある神2柱の合同神器なんだから、性能が良くて当然なんだよなぁ。

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