第2638話 73枚目:一方的な戦闘
原因だろう木製パズルの蟻をしばらく観察したところ、木の特徴の部分に木の実が生ったり茸が生えたりして、それを細長くつながった「マサーカーケッテ」が集めてパーツに変えているらしい。
で、それとは別に蟻としての動きで卵も産んでいて、そちらは魚卵のように核がぎっしり詰まっているようだ。そしてその核とパーツを組み合わせて「マサーカーケッテ」が作られるもしくは生み出される訳だな。
なお木製パズルの蟻は森の木を絶えず食べ続けているので、よく見れば通った後が森の空白と言う形になっていた。何故遠目からだと気づかなかったかっていうのは、卵の残骸がちょうど森っぽく見えたからだ。
というのをしばらく観察した後。
「――――[マジックアロー・ストーム]!」
一掃するんだけどな。主に蟻を中心に作業している「マサーカーケッテ」を。
周りと同じ形をしているが欠かす訳にはいかない仕事をしているって事で、ここを削れば周りに散った「マサーカーケッテ」が戻ってくるんじゃないかと思ったが、どうやら正解だったらしい。私から見て左右に散っていた「マサーカーケッテ」が戻って来た。
もちろん作業再開なんてさせない。集まって来た端から全部撃破していく。しかしこれ、使い道の分からない素材が山ほど手に入るな。「第四候補」に丸投げるか?
「と。流石にずっと一方的に袋叩きって訳には行きませんか」
なんて思いつつ属性を切り替えながら連射を続けていると、流石に木製パズルの蟻も森を食べるのを止めて周りを見るような動作をし始めた。しばらくしてその頭が持ち上げられ、空中にいる私の方を見る。
木製パズルの癖にしっかり視線を感じた後、ガチガチガチ! とその顎が鳴らされた。蟻にそんな習性があったかどうかは分からないが、この場合この音の意味は、まぁ、敵発見の警告だろう。
ただ私はその間も攻撃を続けているし、外してはいないので「マサーカーケッテ」の数は減り続けている。周囲にいる分は今も集まってきているが、私の殲滅の方が早い。
「まぁ、単純に巨大化するだけならただの的というか、わざわざ一ヵ所に集めてくれてありがとうございます、ぐらいなものなんですけど」
ただこのまま殲滅し続けるだけだと、木製パズルの蟻自体は削れない。それにあの大きさを丸ごと封印するのは流石に大変というか、特級戦力以外には出来ない事なので、蟻本体にも攻撃してみる。
数撃ちの魔法の一部を当ててみたところ、攻撃が通ったっぽいのは「マサーカーケッテ」のパーツになる部分だけらしいっていうのが分かった。それ以外の部分? パーツ木製パズルの蟻から生えてるパーツの数が増えたから、たぶん吸収されてる。
まぁでもそこを攻撃しろって言うんならちゃんと狙えばいいだけだな、と、数撃ちの魔法を維持して削っていく事しばらく。
「……発見難易度が高い分だけ、攻略方法は素直でしたね」
案の定パーツを生産する方が優先らしく、みるみる木製パズルの蟻は小さくなっていった。ほんと今回のステージは、それこそ最初のヘルタとの接触さえ間違えなければスムーズにいくな。
とはいえ、ひたすらに時間がかかるっていうのはよろしくない。何故なら、最初のタイムリミットが日中一杯だからな。現在の空には星明りがあるだけで、月は見えない。新月だ。
スライム(神)がいっていた通りなら、夜になった時点でスライム(神)を地下の部屋から救出できていなければアウトなのだろう。……ただ、あの防衛戦をしばらく何とかなるようにして、神殿に行って、地下の空間に気付いてそこに侵入してスライム(神)を開放して脱出する、っていうのは……。
「普通に難易度が高いですね? 私だって、断崖絶壁に地下へ通じる穴が開いてるなんて思ってませんでしたし」
うん。
だからこれは、攻略方法がシンプルでないと難易度高過ぎ案件になるな。
ちょっと感覚麻痺してたか。
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