第2575話 73枚目:進行方法

 お昼ご飯はちゃんと食べてからしばらく考え、いつもの時間から半時間したところで一度ログインしてみた。やっぱりログインしないと、最新の情報は手に入らないからな。

 司令部更新の全体連絡スレッドを確認すると、どうやらまだうちの子を含む住民の仲間は戻ってきていないらしい。ただし「家」から挑戦できるのもレーンズのところだけのままで、変化が無いようだ。

 クランメンバー専用掲示板の方は、と見れば、こちらも馬(相当の生き物)を含んだ住民の仲間が戻ってこない、というところで止まっている。いや、何人かレーンズの加護を貰う事に成功したらしく、その効果が書き込まれてるな。


「……「第四候補」と「第五候補」が、魅了系の魔眼だったのはまぁ……想定通りってやつでしょうか」


 ちなみに添え書きのように「第一候補」からの書き込みもあって、どうやら異界の大神の分霊がある程度こちらの世界に馴染んだ結果、仮にも異界の神であっても、加護を貰うぐらいは大丈夫になったらしい。そうなのか。

 扱いとしては“神秘にして福音”の神ことボックス様のものに近いとの事。あぁなるほど、外から来て定着(?)したのと同じ扱いになるんだな。本体もういないけど。

 ……あ、いや、なるほど、そうか。神のない加護は存在しない。すなわち加護が存在するなら元となる神が存在する。という事は。


「再現と言えど大神の御業。見習いと言っても神は神。よって加護があるなら、分霊にすらなれない欠片であっても存在は保証される……すなわち、神になった状態での復活の可能性が、ゼロじゃない」


 好みははっきりしてるし目に関する加護は実用性ばっちりだ。ある意味とても分かりやすいし、問題になりそうな性格だって、修行とはいえ人助けをする為に世界を巡っている以上は根がお人好し。すなわちただのツンデレだ。神殿が出来れば信仰する人は割といるだろう。

 で、異世界の神が復活するチャンスがあり、そこへの信仰が捧げられるという事は、異界の大神の力も戻りやすくなるって事だ。むしろそっちがメインまである。それはそうだな。異界のとはいえ、大神の分霊を直接お世話ゲフン干渉できるっていうあの状態の方がおかしい。

 ただそういう動きがあるって事は、それこそ他の「モンスターの『王』」と呼ばれた何がしかの過去編をやって、そっちもどうにかした方が良さそうなものだが……まさかここにきて、修神おさめがみはレーンズだけでした、何ていう事は無いだろうし。


「何かフラグが足りない……? それとも、ある程度見習いとはいえ神の力というか、存在を確定しないと進めない……?」


 なお神の復活は加護の数と強度、及びそれが存在する時間に依存するので、私がやり直すと正直ロスになる。なので、繰り返し挑戦する事はどちらかというと非推奨となるだろう。

 そして存在をある程度確定させる為には、加護を貰った人数が増えるのが一番手っ取り早い。だが、私が待機している間も相当な人数が突入し、クリアしている筈だ。つまり、人数は増えている。

 だからそれがフラグなら、それこそ午前中が終わったタイミングあたりで達成されている筈なんだが、それっぽい報告や変化は無いんだよなぁ。となると、何かが足りないって事になる訳だが。


『「第一候補」。ちょっとよろしいですか』

『何であるか?』

『もしかして建材とかご入用です?』

『ふむ?』

『いえ。見習いとはいえ神であり、その復活ないし安定が必要なら、神殿を建てているのではないかと思いまして』

『……正解である。が、我らでは建てられぬから頭を抱えていたところであるな』

『図面は出来たというのがすごいと思うんですが……もしかしたら、加護を貰った人でなければ建設出来ないのではないでしょうか』

『まぁ、そうなるであるな。司令部には既に連絡を入れているである』


 神殿というか、復活した後に宿る場所はいるよな。

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