第2495話 73枚目:2枚目の向こう
厄介なことが判明した。
「まさかあの陽炎のようなもの、領域スキルが触れると爆散するとは……」
どうやら先行して周囲を片付け更地にしていたクランの領域スキル持ちが、力場的除染も兼ねて陽炎のようなものの壁に近づいてみたらしいんだ。
そしてその領域スキルが陽炎のようなものの壁に触れた瞬間、その触れた部分が膨らんで、砕ける音と共に周囲一帯へダメージを叩き込んできたらしい。それも、そこまで突入できる
ただここで不思議なのは、即死したのはガードが間に合わなかったとはいえ、前衛戦士だったらしい。同じくガードが間に合わず、体力の絶対値が低い筈の後衛魔法使いは重傷で済んだようだ。
「……前衛戦士でも、防御が間に合えば即死する事は無かった筈ですが。もしかして2枚目は魔法属性……?」
魔法の威力を上げるには、やっぱり魔力ステータスを上げる必要がある。そしてこの魔力ステータスっていうのは、攻撃だけではなく防御にも効果を発揮する。上げていて損はないステータスだ。まぁ高い程良いっていうのはどのステータスにも言えるんだが。
同じ条件で戦士より魔法使いの方がダメージが低い、となると、魔力ステータスで威力を軽減する事が出来たって事になる。魔力ステータスで威力を軽減できるのは、魔法属性の攻撃だ。
もちろん前衛でも防御を主とするタンク系の
「まぁ全く同じ攻撃が来るとは思っていませんでしたが、属性違いですか。という事は、砦で防げるところまでは同じでも、それ以外の場所で防御する時は魔法防御を意識した方が良いって事ですね」
壁ごとに対処が変わるのは、まぁ、よくある事だ。お約束ですらある。だからそれ自体は良いんだが、やっぱ面倒だな。仕方ないけど。ちゃんとした拠点を作ってその中に避難してればいいだけの話でもあるし。
ただ、一部とはいえ陽炎のようなものの壁が壊れたって事は、その向こうが見えるって事だ。領域スキル持ちの
で、2枚目の壁の向こうに何があったかって言うと。
「……そう来ますよねぇ……」
ここまでと同じく、みっしり空間と土地が埋まっていたのはまぁいい。その隙間どころか上までモンスターでみっしりだったのも、そりゃそうだろうって感じだ。
ただ。今度そこにずらりと並んでいたのは、建造物の中でも特に大物だった。緑色の宝石が埋まった生物の群れが塔を形作り、白くつるりとした背の低い円柱形の構造物が鎮座し、蠢く肉の塊が平たい円形に成形されて、所々に歯車を組み込んだドームがあって、枝葉を横に大きく広げた大樹が雫を滴らせている。
そうだな。見たことがある。どれも全部見たことがある。ここまでで見てきたものだ。だから対処も知っている。何とかなる。
「だからこう、嫌な予感ばかりが当たらなくてもいいんですが」
だが。こうも予想通り、そして嫌な予感通り、次の段階に律儀に建造物のボス格が来なくてもいいんじゃないかなと思わないでもないんだよなぁ!
私だけじゃなくて司令部やベテラン勢も推測してただろうけど、本当にこう、フリアドはそういう部分のお約束をちゃんと守るよなっていうか、ある意味そういう部分では律儀だよなっていうか……!
いやまぁ今の所、あの明らかに「夢」と「残滓」をはめ込む「異界の石板」を使う場所は見当たらないし、ラストアタック報酬である建物らしい設計図で作るものの作りどころも見当たらない。だからまだまだ奥はあるんだろうけど!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます