第2493話 73枚目:平日日中

 そこから午前中のログインが終わるまではその場で待機が続き、儀式場に領域スキルを移して私は一旦ログアウトだ。

 夏休みの宿題は終わっているので堂々とお昼ご飯を食べて、午後のログインは司令部の予定通りにちょっと遅め&小刻みなので軽くストレッチをする。暑いから冷房つけてるんだけど、ゲームしてると動かないからな。

 でも温度設定緩めるといきなり暑くなるしなー等と思っている間にタイマーが鳴ったのでログイン。まぁやる事は変わらないんだけど。


「あー、はい。了解しました」


 一応司令部更新の全体連絡スレッドとクランメンバー専用掲示板を確認するが、そこに書いてある内容も変わらない。攻略は順調なようだ。違うのは、拠点の拡充と防壁の延長が十分進んだので、私にその端へ移動して欲しいって連絡があった事か。

 まぁそれはそう。と納得してざっと装備を確認し、儀式場に移動して旗槍を受け取り領域スキルを戻す。その状態のまま、一旦屋上へ出た。


「おー……流石みのみのさんですね」


 そこから全体を見ると、実に長く伸びた防壁が見える。途中にある砦もしっかりしたものだ。「築城の小槌」もかなり使っていた筈だが、ちゃんと建てた場所と区別はつかないな。

 そのまま空気の足場を蹴って移動だ。ルイシャンに乗る以外だと、結局これが一番早いからな。今なら【飛行】でもそれなりの速度が出るだろうけど、止まるのが大変だし。

 で私が移動するって事は領域スキルも移動するという事なので、行く先でみるみるモンスターと構造物が倒れていく。大分端の方まで来たかな。えーと座標は、あそこか。


「『アウセラー・クローネ』所属ルミル、到着しました」

「お待ちしておりました!」


 元々の展開範囲の端、効果範囲ギリギリというかちょっと外側まで伸びた防壁の先端にある砦の屋上へ着地する。防衛戦しながら砦作ったって事? すごいな。もしかして私のログインが遅かっただろうか。

 でも予定通りだしな。……領域スキルのバフが乗ってる&「築城の小槌」で、司令部の想定よりも工事が早かった可能性。なるほど。使う人が使えば強いからな。だって一叩きで城が作れるんだぞ。

 まぁ到着したので大丈夫だ。そしてどうやらこの場所は、最初に壊れた陽炎のようなものの壁に近いらしい。召喚者プレイヤーの絶対人数が多い。大丈夫か? 主に行動事故とか。領域スキルの展開範囲は内側に向けてるけど。


「大丈夫です。むしろここで最終調整をしていく人も多いので」

「なるほど」


 司令部の人が言うには大丈夫らしい。最終調整……まぁそれぐらい地力を上げてないと無理があるか。最終調整というか、最後の追い込みって気もするが。

 まぁ大丈夫ならいいか。と、儀式場へ移動。領域スキルの全力展開だ。ここでは内部時間4時間、リアル1時間このままで、その後一旦ログアウトして時間調節だな。「築城の小槌」の魔力供給も再開してと。


「親方ぁ! 小槌が復活しましたぁ!」

「ブモー! なら建築に戻るッスよー! どんどん壁を伸ばしていくッス!」

「「「おー!」」」


 その途端にそんな声が聞こえた気もしたが、まぁ、うん、建築が進むのは良い事だ。大丈夫。みのみのさん達も、司令部の予定は分かってる筈だから。私がログアウトしている間も建築を進めているようだったから、ログイン時間どう配分してるんだろうとは思ったけど。

 そしてゴンゴン魔力が「築城の小槌」に持っていかれるので、滅茶苦茶使ってるんだろうなぁとは思うけど。というか、もうあの小槌みのみのさん達に上げちゃったほうが良くないだろうか。明らかに私より使いこなしてるんだが。

 魔力を注げば回復するとはいえ、普通の修理も出来た筈だからな、あれ。消費するのは耐久度だから。魔力でも回復するだけで、磨いたり補修したりでも回復できたはずだし。

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