第2487話 73枚目:攻略再開

 改めて時間を確認すると、いつもの時間にログインしてから4時間ぐらいが経っていた。思ったより時間がかかったなという感じだが、モンスターの群れと戦闘し、建造物の群れを壊しながらだという状況での移動距離を考えると、かなり早い方だろう。

 今度は司令部から全体連絡として、元々陽炎のようなものが壁として存在していた場所の外側で留まり、外側から出来るだけ攻撃を続けて下さい、という指示があった。なおかつ。


「領域スキル保持者は、出来るだけ陽炎のようなものがあった場所、及びその内側の力場的除染を行ってください、と来ましたか。まぁそうなるでしょうけど」


 どういう仕組みで陽炎のようなものの壁を砕いて爆散させているのか、本当に爆散なのかは分からないが、その向こうが完全に相手の土地になっているのは分かっている事だ。

 なら力場的にそこを削いでやれば、大規模な動きはしにくくなるか出来なくなるんじゃないかというのは当然の推測だな。だが流石に最前線で除染の儀式は出来ないから、出来るだけ出力を上げた領域スキルを展開し続ける事で干渉するのが現実的だろう。

 そこまでが決まったところで、私も再び出撃だ。供給能力は切っているし、少なくとも奥に進めば敵は山ほどいるからな。ステータスが上がれば自然回復力も上がる。釣り合うだけ領域スキルに投入しても大丈夫だろう。


「せめて神獣に乗ってる訳にはいかないのか」

「戦力が足りませんからね。それに他の乗り物に乗っていたら、いざという時さっきみたいに乗せてもらう事が出来ませんし」


 だから徒歩なんだよな。緊急避難をする必要の事も考えると。それに今の私だと、その辺の馬(相当の生き物)に乗るより走った方が早い。ステータス的な意味で。

 という訳で再び単独行動である。エルルは敵が減らないと私が下がらないのを知っているので、ものすごく頑張ってくれているようだ。無茶の範囲に入ってないといいけど。

 領域スキルに自然回復力と釣り合う分だけ+最大値から1割のリソースを投入したのもあって、さっきより展開範囲は広がっている。それに一度通った場所だし、展開する形は私を中心とした球状だからな。当然、地下も範囲内だ。


「さて、地図だとこの辺りの筈ですが」


 なので、あっという間に陽炎のようなものがあった筈の場所近くまで辿り着いた。範囲内では外側に行くほど程度が変わるとはいえ、モンスターも構造物も、押し付けられた負荷によって勝手に倒れて行っている。

 しばらくここで待機しながら領域スキルの展開を維持すればいい筈だ。そのしばらくがどれくらいかは分からないが、少なくとも普通に攻撃している組が追いつくまではこのままだろう。

 だから後は掲示板でも見ながらのんびりしていればいい。いやぁ、連絡が取れて掲示板が使えるって言うのは助かるなぁ。流石に最前線で生産作業をする訳にはいかないし。


「まぁ別に生産作業をしていても問題は無さそうですけど……」


 流石にな。ここで机と椅子を出してお札を作っていたりするとな。見た目がな。“呑”むの正体的に本体はどうか分からないが、少なくともモンスターにとっては煽り以外にならないだろうし。

 単に煽りになるだけなら領域スキルに入ってくるだけで何も問題ないんだが、陽炎のようなものの壁を始め、見た目では分からない手札がいくつもある以上、変な事をされると困る訳で。


「それでも、範囲内が大体すっきりしたら、領域スキルの中心点を奥に押し込んでいくぐらいはしますけど」


 何せ今私が展開している領域スキルの範囲は広いからな。召喚者プレイヤー本人が踏み込まなくても、その展開範囲の中心だけを前に移動させても、当分私は領域スキルの中にいる事になる。

 流石に私が球状に展開した領域スキルの、後ろ側の端に残るって程押し込むまでには時間がかかるだろうが、出来ればそこまで行ってみたいな。流石にそこまでいったらだいぶ土地の除染も進んでるだろうし。

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