第2477話 72枚目:イベントリザルト

 で、どうにかボーナスタイムである日曜日を走り切って、翌日月曜日。


「おーっほっほっほっほっほ! わたくし、最前線復帰! ですわ――っ!!」

「はっちゃけてますねー」

「あれ、はっちゃけてるでいいんすか先輩」

「ラスボス戦にギリギリ滑り込めるタイミングで間に合ったのが嬉しかったんでしょう」

「あー、なるほど」

「冷静に解説しないでいただけます!? それより、ほら! このティアラをご覧になって!」

「お揃いですね。猫系種族の王族ルートですか?」

「つーかこの分だとお揃いを狙ってたんだろうなっていうのは言われんでも分かるっすし」

「んんっ!!」


 大変元気にマリーが復帰だ。復帰というか合流というか。ははは、咳払いしてそっぽ向いても耳が赤いぞ? なお私とフライリーさんも、マリーがいない間に手に入っていた装備の性能でビビらせ返すのを忘れていない。

 まぁでも、結構久々に3人揃ったな。まだイベントのお知らせは届いていないが、ラスボス戦のお知らせは無事に集まって確認できそうだ。

 ……その前に、昨日で終わったイベントのリザルト確認が待っているんだが。


「あら? 報酬の受け取りはしばらく大差なかったのではありませんこと?」

「正直に言いますと、前回の「カードケース」の時点で妙な事になる気はしました」

「まぁラスボス戦っすからねぇ……この大一番で、確実に召喚者プレイヤーが全力をぶっこむタイミングで、フリアドの運営が何もしない訳がねぇっつーか……」

「毒されておりますわね」


 マリーの言葉にぐうの音も出ない訳だが、ともかく。

 レイドボス2体分の報酬という事になるからか、イベントダンジョン突破数とかモンスター討伐数とかの全体報酬が数割増しだったのはいいんだ。最後には大量の建材になっているし。そして建材はいくらあっても使ってしまうものだからな。

 レイドボスへのダメージに関するランキング報酬もいつも通り。これもまぁいい。ルージュ達に渡せばいいだけだ。まだ装備が強化されることについては、うん。もう諦めたというか、装備の性能が良いのはいいことだから。

 問題は。


「まず第一に、私が貰った「特殊救出対象救出報酬」です」

「あれっすか。結晶化した精霊さん達っすか」

「……以前にも聞いた事のある報酬項目名ですわね」


 そうだよ。結晶化した精霊を、石臼の持ち手から外して持ち去った時の報酬だ。なお今回、あの時あの場にいた召喚者プレイヤー全員にこの報酬が出たらしい。まぁそうだな。私だけだと無理だった。

 そして前にも見たことがある。そう。竜都の大陸におけるレイド戦で、ハイデ様を救出した時だ。あの時もかなりの爆弾が出てきたんだよな。「万溶の融合液」っていう。

 で、今回は何だったかって言うと。


「……その報酬が、「異界の石板」というんですが」

「先輩耳塞いでていいっすか」

「諦めなさいな。少なくとも全員巻き込まれる奴でしてよ」


 ふふ。マリー、正解。


「どこからどう見ても、明らかに、「夢」アイテムと「残滓」アイテムをはめ込むものなんですよね」

「ここで来るっすかー……」

「あぁ、あの。結局用途がまだ分かっていない」


 そういう事なんだよなぁ。今から怖い。司令部の人にも渡っているし、まだ使えないみたいだけど。絶対どこかのギミックの鍵になる奴だろこれ。


「そしてこれは伝聞になるんですが、ラストアタック報酬がですね。……何か、建物っぽいものの、設計図だったそうです」

「そこ、地図じゃないんすね……」

「そうですわね。まぁ、ここからどこへ行くかというのは既に明白ですし、地図を必要とするならそれはそれで大変ですけれど」


 ちなみに、そちらも現在司令部が仮組して、何の建物か調査中だ。とりあえず今の所何か変化があったとは聞いていない。


「後は、あれですね。イベント期間が終わって以降、うちにいた異界の大神の分霊が、姿を消しました」

「え。そういやいない気がしたっすけど、いなくなったんすか?」

「あら、まぁ……。他の場所でもですの?」

「とりあえず今確認できる範囲では、全員いなくなっているようですね」


 そういう事なので、ここまでずっと分霊のお世話をしていた時間が、その前と同じように準備に当てられる。7月も残り10日だ。少しでも準備できるならそれは助かるんだが。

 ……たぶん、全部繋がってくるんだろうな、これ。

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