第2476話 72枚目:ボーナス終了

 ちなみに新しい(?)分霊はひっきりなしにやってくるが、それはそれとして開かれた神域に捧げものをすると、更に“呑”むを削るペースを上げられる可能性がある、との事だった。

 なのでとりあえず今のペースなら1時間ほど持つ量の薬膳スープと煮込み肉を作ってから、私は生産部屋に移動。自分にしっかりとバフをかけた状態で、最高品質のポーションと、全力を込めた恵みの雨のお札(使用型)を大量生産。

 ポーションは箱詰めして、お札は千枚一束にして、異界の大神の神域が開いている場所へ移動。


「あれ?」


 その時になって初めて開いている神域が1つになっている事に気付いたが、まぁ、“呑”むと呼ばれるものに変質した欠片を削って回収しているんだ。こちらにいる分霊も含めて、統合したんだろう。

 まぁやる事は変わらないので、まず箱詰めしたポーションを神域の中に入れる。……右見て左見てもう一度右を見ると箱が消えているので、回収がとても早い。いや入れやすくていいんだけど。

 そして箱詰めポーションを全部入れた後でお札の束を取り出し、神域の奥へ、思いっきり投擲した。


「カバーさんが言うには、分霊を調べたところ、ちゃんとステータスがあったようですからね。それが全部回復したら、完全にこっちに回収できるようになる、という事のようですし」


 なので、全力のポーションと、煮込み肉ではちょっと追いつかない渇水度回復目的の恵みの雨だ。たぶんこれでここに、煮込み肉で作った料理を捧げれば完璧だろう。

 まぁ、薬膳スープはアビリティをフル活用すれば10分ぐらいで出来るからな。スープが出来るって事は煮込み肉も出来るって事だし、鍍金の竜のお肉はまだまだあるので問題は無い。

 というかむしろ、ようやく山積みになっていた効果高過ぎなお肉がはけると言えるだろう。ここで回復して貰えばその分だけラスボス戦が楽に……はならないだろうが、マシにはなるだろうから、頑張りどころだ。


「……しかし、本当に、レベルアップした感じの素材もありましたし、一体何体倒していた事やら」


 そんな事を思わないでもないが、ともかく。

 その後も基本的に薬膳スープと煮込み肉を作り、余裕が出来たらポーションとお札を作り、日曜日は過ぎて行った。途中から休んで復活したエルル達、竜族部隊の料理出来る組の人達も参加してくれたからな。かなりペースは上げられただろう。

 料理を作るペースが上がったら私はポーションとお札を作る側に回れるし、それを神域に入れると更に回復が加速するからな。どのくらい削れるペースが上がったのかは聞いてないが、頑張っただけ効果はあった筈だ。たぶん。

 もちろん他の召喚者プレイヤーのところに出現した分霊達も、あちらは真っ当に(?)数の力でちゃんと食べて回復できたらしい。クラン『銀のカトラリー』があちこちに出張して大活躍だったとか。


「それにしても本当に、あと何日か欲しかったわね」

「本当にそうっすね。その分だけ真っ当な部分が力を取り戻してくれたって事っすし」


 という会話も何度もあったぐらいだが、それは本当にそう。最初のロス分の時間を返してほしい。これからは最初から疑ってかかれるから、こんなことにはならないだろうが。

 なお途中で一番危なかったのは、薬膳スープに使う各種薬草だな。どちらかというと香草の類だし、コトニワ由来でうちの畑でしか作ってないものも含まれてたから。栄養剤と精霊達、精霊獣達で頑張って育ててもらった。

 ちょっと時間をずらして日付変更線直前にログインし、その時点で作っていたポーションや料理を全部神域に入れたから、恐らく無駄も無い。……さーて、これでどのくらいいけたかな。ボーナスタイムがイベント本体より忙しい気がするのはいつもの事だ。

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