第2475話 72枚目:ボーナスの意味
私はいつもの時間にログインしていたので、さほどなくカバーさんもログインしてくれたし、日曜日なのでそれなりの時間でソフィーナさんとソフィーネさん、そしてフライリーさんもログインしてくれた。
既に食堂は大きな机を片付け、立食パーティ形式で細長い机を並べてどこでも行けるようにして、自由に食べてもらう形になっている。もちろん薬膳スープと煮込み肉ステーキもエルル達の所に持って行って、ちょっと休憩できるようにした。
「お嬢。この肉を食べたアレクサーニャが倒れたんだが」
「つまみ食いはいけませんね」
「何だこれ」
「あのジャーキーの元のお肉です。説明文には「お腹ははちきれる」って書いてました」
「……。かねない、じゃなくてか……」
まぁそんな会話もあったがともかく。
どうやらちゃんと間違いなくお腹いっぱいになれるご飯が、どれだけ人数(柱数)が増えても十分にある、という事を理解したのか、エルル達のところに分霊は現れなくなったらしい。
もちろんその分こちらにくる分霊は増えているんだが、私は焼き目を付けてサイコロステーキの形にするのが精一杯だったお肉。ソフィーナさんにかかれば、それはもう色々な料理に姿を変えた。
サンドイッチを始め冷しゃぶ、野菜と合わせてサラダ、あんかけ、照り焼き、それらをトーストに乗せたりご飯に乗せたり、ピザやグラタンまで。見てるだけでお腹が減ってくるな。
「だいぶ栄養価は違うけど、というか確実に別物だけど、サラダチキンに近い使い方が出来るのよね。塩ハーブ味が近いかしら」
「なるほど」
なおその満腹度回復量は据え置きどころか更に上がっているので、出来る範囲で一口サイズにしているのもポイントが高い。私はひたすらその元となる薬膳スープと煮込み肉を作っていた。
そしてそうこうしている間に、どうやら分霊の一度に出現する数も落ち着いたようだ。最大効率が分かったとも言えるかもしれないが。まぁ、こちらも多少は余裕が出来たから良しとしよう。主に煮込み肉と、競技用プールぐらい容量がある中に湧き水の奇跡を願ったタンクを設置した給水機のおかげで。
もちろん作る手を止める訳にはいかないが、それでも昨日から働きづめだった双子が休む時間ぐらいはとれるし、フライリーさんが、結局空になった私の「お菓子籠」に入れるお菓子を作ってくれる余裕ぐらいは出来た。
「やはりボーナスタイムとしての動きである事は間違いないようです」
で。余裕が出来たって事は、カバーさんの報告を聞く事も出来るようになったって事だ。
「既に分霊がいた場所全てで同様の現象が発生し、
「中に物を……捧げもの扱いですか?」
「そうですね。ただ扱いとしてはこうして分霊に食事を供するのと同じであり、信仰値の変化は無いと大神官さんから返答がありました。また大神官さんから御使族の方々に問い合わせて頂いたところ、どうやら大陸最奥の存在が、僅かですが小さくなっている気配がある、との事です」
「……過去一重要なボーナスタイムじゃないですか」
「これを阻止する為に難易度を上げたまであるんじゃないかしら」
「特に最後の大暴れとモンスターでの回復はそんな気がしねぇでもねーっすね……」
そして聞けた報告は、そんな感じだった。なるほど。つまりこの増えた分霊は、
直接的にラスボスを削る事が出来るし、それが出来るって事はここで削っておかないと決着がつかない可能性まであるって事じゃないか。ちょっと待て。
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