第2392話 71枚目:進捗と条件

 で。早いもので、イベント2度目の土曜日に突入した時点でどうなったかというと。


「種族対象の突入コストマイナスは、上限がある事が確定。その上限が、種族にかかる突入コストが星1個分になるところまで、というのもほぼ確定。突入コストのマイナスは全て同じ法則である可能性が高い、と」


 カード化コスト増加の方はまだ分からないが、突入コストマイナス報酬をちゃんと集めれば、だいぶ突入は楽になるだろう。恐らく武器種の突入コストマイナスも同じ法則、というのも納得だ。何故なら同じ減少幅だったからな。

 また上限に達した報酬は当然ながらもう出ない。その分だけ残っている報酬が出やすくなる、というのも確かだったようで、誰かがボックスガチャだと言い始めたらしい。まぁ間違ってはいないんだけど。

 一方司令部仮称のレベルを高くする事による報酬の変化はちょっと難航している感じだ。難易度が高い分だけ時間がかかるのは当然として、どうも難易度の中には広さが含まれているみたいなんだよな。


「つまり、移動時間が敵になっている訳ですね……」


 逆に、ここまで広くて移動手段必須なんだったら、この辺りで馬(相当の生き物)の突入コストマイナス報酬が出る筈だって事で、突入する人数は増えているようだ。

 ただ一方、それぐらいなら早く司令部仮称のレベルが低いダンジョンの報酬を取り切って「はずれ」を無くす方が先なんじゃないかって意見もある。どっちも必要だと思うんだが、その辺は個人の判断だからな。

 ……もっと言えば、やっぱり種族レベルによっても必要な突入コストが増えるから、難易度相応の種族レベルの召喚者プレイヤーにもっと頑張ってほしいんだが、突入も出来ない私だと何も言えないからなぁ。


「せめてこう、生産作業以外で何か参加できればいいんですけど」


 本当に、ここまで閉めだされるとは思ってなかったぞ。うちの子を含む、突入コストが高くて最前線に向かえない仲間や召喚者プレイヤーが世界各地に散って、野良ダンジョンが攻略されまくっているらしいし。

 お陰で、海神様が野良ダンジョンを集める扉から挑戦できる数も、ほぼずっと片手で数えるほどだとの事。いやまぁ空間の歪みを放置しないって意味だとそれでいいんだろうが、あまりにもこう、露骨が過ぎる気がするんだよな。

 もちろん後半になったら死ぬほど忙しくなる、って可能性も無い訳じゃないと思うんだが、そうすると今度は今忙しくしている人間種族召喚者プレイヤーや仲間が追い出されかねない気がするし。


「……レイド戦で、そんな仲間外れをするのは、ちょっと違和感ですね」


 とはいえ、イベントページはバックストーリー的に、イベントのお知らせと同じく大神が関わっているものだ。いくら侵略者の領域になっていて干渉が難しくても、イベントページに表示されている分は確実な情報と言える。

 だから、イベントページに対して「指針のタブレット」を使う事は出来ないし、意味がない。そして司令部やベテラン勢なら、真っ黒い綱のドームそのものに「指針のタブレット」や「導きのタブレット」を使う事はもうしている筈だ。

 なおかつ、ダンジョンの中はオートマップが働かない程に加護と祝福への封印もしくは妨害が強い。タブレットも多分機能不全を起こすか、沈黙している事だろう。


「というか、その辺を試して何かわかったんなら、とっくに全体で共有されている筈ですし。それが無いって事は、追加情報は無いって事ですよね」


 けど、なんか情報が足りない気がするんだよな。

 もっといえば、いつもの運営情報の出し方下手過ぎ案件の気配がする。

 だからといって、どこをどう調べれば情報が出てくるかっていうのは全く分からないんだが。

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