第2384話 70枚目:イベント準備
月曜日から金曜日まで、うちの子は大容量アイテムボックスまで持ち出して大量の素材を確保していた。そんなことしなくても畑とかボックス様の試練で手に入れた素材が大量にあるだろう、と、普段なら言う所なんだが、私はそれについて何も言わなかった。
何故なら、私も私で、全力で素材を消費していたからな。それも今まで効果が高すぎて外に出せないから放置していた、多頭の蛇竜や鍍金の竜を含めた特殊な相手の素材も含めて。
何をしていたかと言えば、もちろん主にポーションの生産だ。私のスキルレベルも高いし素材も上等だから、出来上がるポーションの効果はとても高くなる。それをランクの低いものにする為には、2、3回は1個ずつ錬金釜に放り込まなきゃいけないから、ちょっと手間だったんだが。
[アイテム:希釈液
説明:液体アイテムの効果を体積に応じて希釈する
希釈された液体アイテムに変化する]
こういうものが開発されて、しかもレシピが公開されたんだ。なので私は非常に上質なポーションを作りまくり、希釈して瓶詰するのを「第四候補」に外注している。単純作業ならあっちは大得意だからな。
「希釈液」そのものはとても簡単に作れたし素材も集めやすいものだったので、「簡単に作れて絶対に需要がある」アイテムが現れたことになるな。金策にも良いだろう。何せ少しずつでも作って売れば、私達みたいな上位陣がごっそり買っていくんだから。
という訳でひたすらポーションを作り続けて……いると、まぁ、でっかいお肉が残るんだよな。いやこれもポーションにしようと思えば出来るんだけど。
「という事で、ちょっと魔が差しました」
「確かにお肉は食べた方がいいけどさ!?」
「……どうすんだこれ」
「分霊にあげたら、一口食べてしばらく止まってましたからね……」
たぶん、その何秒かだけお腹いっぱいになってたんだと思う。瞬間的に。あの分霊にもキャパの上限があるだろうからね。
……何を作ったかっていうとだな。
[アイテム:鍍金竜の薬膳スープ
消耗品:料理(HP回復+*20・MP回復+*10・SP回復+*10・HP継続回復+*10・MP継続回復+++++・SP継続回復+++++・状態異常回復+*10・状態異常一時耐性+++++・空腹回復+*50・渇水回復+*30)
耐久度:100%
説明:鍍金竜と呼ばれる竜の肉を多種多様な薬草で煮込んだスープ
色々な意味で回復するが、お腹ははちきれかねない
継続効果:2時間]
はい。
……なお本命は煮込んだお肉の方であり、そちらは現在干し肉というかジャーキーに加工中だ。ちなみに【大食】のない一般人間種族の場合、「空腹回復」が+の数で3つもあれば十分お腹が膨れる。というかこれ、サーニャでも瓶1つで満腹過ぎて倒れるんじゃないだろうか。
これを、私が両手で無いと抱えられないような塊肉が、余裕をもって入る大鍋に一杯作ってしまったものだから……が、頑張って分霊に食べてもらおう。一口食べて再起動したら、がしっとスープの器を掴んで離さないまま食べ続けてるし。
「香りだけでも美味しいのは分かってますし……パンに染み込ませて軽く焼いたり、そもそも生地に練りこんだりしたらちょっとは食べられるようになるでしょうか……」
「どう加工しても絶対腹いっぱいになる気がするぞ」
「というかこれ、ボクらでも食べれるか怪しいんじゃないかな。大丈夫? 人間だとほんとにお腹が破れるんじゃない?」
「小動物系のやつらも止めておいた方が良さそうだな」
美味しい、という部分には全く反論が無かったし、これだけの効果があるんだから、捨てるっていう選択肢は最初からない。
ただ、その加工方法については……双子も呼んで、ソフィーナさんと相談するか。そうしよう。うちのメインコックさんならきっとなんかいい感じにしてくれるに違いない。
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