第2383話 70枚目:レイドボス撃破

「……それでも結局、連続5日よりは短かったんですね」


 と、改めて司令部の掲示板を確認している現在はリアル月曜日の夜だ。

 もちろん討伐は出来た。案の定レイドボス「狂い崇める外法の禍壁」は周囲の壁を全て壊し切っている間しか攻撃が通らない上に、天井の上、最初の部屋、そして地下の3ヵ所の内、どれか1ヵ所にしか攻撃が通らないかつ通る場所が一撃ごとにランダムで切り替わるとかいうくs……んんっ、非っっっ常に面倒極まる特性をしていたんだが、もうダメージの反射なんか知った事かと全員で攻撃し続ける事で討伐した。

 ダメージの反射は割と痛かったが、それでも誰も攻撃の手を緩めなかったからな。ちなみに私は地下に居て、ボックス様の奇跡を願って周りのダメージを肩代わりしてた。ははは、いくら反射されようとも防御できれば問題ないんだよ。


「に、しても、しばらく金属をぶつけ合う音は聞きたくありませんが」


 時間加速している空間なら余裕があっても、通常空間だと割とギリギリだ。しかも「狂い崇める外法の禍壁」を倒した瞬間、大きな揺れと共にそのまま通常空間に放り出されたもんだから、大慌てで引き上げる事になった。連続ログイン制限に引っかかりそうだったからね。

 もちろん向こう3日は休みだって伝えておいたし、特にエルルは休まないのが分かってるから、私が次にログインする起きるまでに休んでなければ休息命令を出すって宣言しておいた。そのおかげか、とりあえず全員の様子を見て回った範囲では大丈夫そうだ。


「で、エルル」

「休んだぞ」

「サーニャ?」

「うーん、一応部屋には戻ってたかな」

「……まぁセーフとしておきましょうか」


 エルルが微妙にもの言いたげな顔だったが、今までの事を考えろと。どれだけ休んだって自己申告して実際は休んでなかったと思ってるんだ。

 ボーナスタイムはいつもの、分霊の神域を直接綺麗にしたり捧げものを放り込めたりするほかに、あのエリア四隅の制限時間無限のステージが自由に出入りできるようになっていた。

 通常のステージはというと、本体との戦いで出てきた分で綺麗に全てクリア出来ていたらしく1つも残っていない。ステージに再挑戦したければ、大神の悪夢から再現レイドボスとして挑戦するしかないようだ。


「まぁ別に、これと言って絶対に欲しいって言うほどの素材はありませんでしたし」


 そもそも素材があればボックス様の試練で狙い撃ち出来るからな。ただとても素材的に美味しいって事で、内部時間3日しっかり休んだうちの子は、元気にボーナスステージに突入しているらしい。

 なお元気に突入しているのはうちの子に限らず、ベテラン勢を中心とした召喚者プレイヤーもだ。司令部も稼働を続けて、主にあのステージにいた大物を倒せるかのチャレンジをしているとの事。

 うん。まぁ確かに、最後の大陸に突入してから、こんなに素材を大量確保できる場所は無かったもんな。補給は出来る時にしておくものだ。


「というか、ここで補給できるようになってるって事は、この後が絶対に厄介になるって前振りみたいなものだし……」


 ちょっと素が出てしまったが、たぶんそう言う事だと思うんだよな。南北の大陸の最後とかの事を考えると。

 残りの復活レイドボスは2体。そして“呑”むが最奥に控える。そして残っているレイドボスは、どちらも、


「……ステージの構築と、条件付きの分断が得意なやつだからなー……」


 絶対、絶対、絶っっっ対に厄介な事になるっていうのだけは分かるんだよ。悲しい事に。なお“呑”むが変質し切った異界の大神だというのはほぼ確定なので、同じく空間干渉はとても「お得意」だろう。

 つまりだな。


「確実に、内部の広さがあるタイプですよね、残り全部……」


 だと思うんだよな。またしても移動時間が敵になるのか。

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