第2371話 70枚目:攻略法則

 案の定、私と「第一候補」で領域スキルを重ねて展開すると隠し通路を構成していたブロックが壊れ始めたんだが……まず、その通路が4つあったのが問題だ。立方体の形をしていた部屋の、四方向の壁に1つずつだな。

 で。手分けしてその隠し通路の先を探索してもらったんだが、どうやらその先にも全く同じ大部屋があったらしい。もちろん、中に大型の鎧付きモンスターが3体いるところまで全く一緒だ。

 一応確認したが、鎧付きモンスターは隠し通路を大きさの関係で通れない。なおかつ、鎧付きモンスターがいる限り隠し通路は開かない。これは確定のようだ。


「どれだけ突破すればいいと思います?」

「まぁ、今回は流石に突破が前提となっているであろうが……何組かに分かれて、下の階層から再探索してもらう必要があるかもしれぬな」

「ここまでの探索率が低い程戦わなきゃいけない、とかじゃないといいですね」

「探索率が高い程難易度が上がる、という可能性もある故なぁ」


 とはいえ、大規模な空気の足場を設置するだけならベテラン勢でも出来る。フルアーマー状態の鎧付きモンスターだとその内側へ座標指定で直接魔法を叩き込む事は出来ないから、魔法使い系の召喚者プレイヤーの手が空いてるんだ。

 しかし、途中から随分早く進めるようになったとはいえ、分断されてからすでに7時間が経過している。まだ人数が足りないとはいえ、住民の仲間が全くいないので、隔離されたのは召喚者プレイヤーだけらしい。

 となると、主にうちの子の慌てっぷりが大変な事になっていそうだが……いや慌てないな。うちの子は。ただただ攻撃ペースが上がるだけだ。


「通路の出ない部屋が見つかったぞー」

「まぁ出ないっつか数が少ないだけだったけどな」

「司令部、地図どんな感じ?」


 私が領域スキルを広げて置物になっている間も、手分けしての探索は進んでいる。その先で、隠し通路が出ないというか、隠し通路の数が少ない部屋が見つかったようだ。

 もちろん合流できた中には司令部の人も混ざっているので、地図が作られている。一応オートマップは機能しているんだが、空間(ステージ)が違う判断なのか、メモを使っての連絡も中にいる同士でしか出来ないんだよな。

 しかし本当に何部屋あるのか。どんどん動きが最適化されて、もう1部屋突破するのに30分かかって無い筈なんだが。……いやこのペースもだいぶ早いな。あの大型の鎧付きモンスター、一応小粒のレイドボスステージボスぐらいの大きさはあるんだから。


「……これはもしや」

「まさか」

「だがそれなら」


 なんて思っていたら、なんか司令部の人達がごそごそしている。え? 何? 何か問題あった?

 何事? と思いながら様子を見ていたが、とりあえず司令部の人達は攻略する方向を決めたようだ。再び召喚者プレイヤーの集団が移動していく。私と「第一候補」は領域スキルを広げる関係上、入口があるこの部屋から動かないからな。

 そうして召喚者プレイヤーの集団が戻って来て地図が更新され、また司令部の人が進む方向を決める。その範囲の全てに領域スキルを展開しているからか、私のオートマップにも全体図が出てくる訳なんだが……。


「……あー……」


 それを確認して、もしかしてと思ってここまでのオートマップを確認。どうやら間違ってなかったらしいと気付いて、小さく声が出た。初手でこれに気付いた司令部の人達すごいな。

 何のことかって言うとだな。攻略した部屋を並べた時のマップが、どうも、ここまでの迷路で散々出てきたパターンだったんだ。最初に右折があって行き止まりで、その先に左折があって、その先を右折すると小部屋があるってやつ。

 もちろん別のパターンもあるにはあったが、それでも組み合わせ自体は5つも無いだろう。だから鎧付きモンスターの足音だけで小部屋の位置に当たりをつけられたし、急行も楽だったんだ。


「……新しいパターンっぽいですね、これ」


 とはいえ流石に戦闘が続くときついから、もうちょっと階層自体は少ないといいんだけどな。

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