第2369話 70枚目:続々合流

 鎧付きモンスターの足音、途中からは戦闘音に変わった音を追いかけていった先では、やはりあの時中心部に残っていた召喚者プレイヤーが、鎧付きモンスターを相手にしていた。

 とはいえベテラン勢もしくは最前線の中心で動ける召喚者プレイヤーだ。鎧付きモンスターは壁系魔法で足止めするか、関節(弱点)を狙ってクリティカルを出せばいいと知っている。打撃を通すっていうのは少数派。

 なので、私の出番はあんまり無かった。大体対処できていたからね。


「あれっちぃ姫!?」

「わあちぃ姫じゃん」

「あー、まぁそりゃそうか……」

「外ダメなんじゃね?」


 ただ私や「第一候補」と違って、1つの小部屋に複数人いたのは驚いたが。扱いの差……いや妥当だな。妥当だった。

 とりあえず、他にも召喚者プレイヤーがいる事と「第一候補」もいる事、天井に穴があいてそこから上がっていくことで(たぶん)脱出できる事を伝えて、次の召喚者プレイヤーがいる場所へと移動していく。とはいえさっき言ったように、私の出番はあんまり無かったが。

 まぁでも、最前線の中心で動ける召喚者プレイヤーだ。脱出の方針が分かっても、領域スキル持ちと一緒に行動した方がいいというのは分かり切っている。ので、どうにか鎧付きモンスターが全部こっちに来る頃には、この階層にいた召喚者プレイヤーが全員集合していた。


「とはいえ、流石にこの人数だと部屋が狭いですね」

「ゆーて次の階層で合流できるかどうかは分かんない訳じゃん?」

「まぁ一緒におるわな」

「で、あるな。人数が揃えば別行動もかなうであろうが、あのモンスターの動きから未合流の召喚者を探す為には、全員で一塊になっていた方が良いであるし」

「それはそう」

「狭いのはしゃーないな」

「人数が集まったら部屋がでかくなる事に期待」

「レイドボスに気遣いを求めるな」


 まぁそんな会話もあったがともかく。そこからも大体同じことの繰り返しだな。最初の人数が増えた分だけ初動がもうちょっと楽になったけど。

 ただ、そうだな。あの柱から出現する鎧付きモンスター、実は中身が無かったっていうのが判明したりしていた。ほら、関節を狙ってクリティカルを出せば増やせるのだが、どうやら中空だったらしいんだ。

 ここで出てくる鎧付きモンスターは、床か壁に触れていると鎧が無限回復する。だからすぐフルアーマー状態の奴が2体になったらしいんだが、斬った瞬間の断面が空っぽだったんだってさ。


「……。となると、内部に衝撃を通して倒せているのは一体何故でしょう」

「何かしらの核はある、という事であろう。リビングアーマーとて、内部に不可視の人魂といった形の核がある故な」

「なるほど」

「それで斬っても増えるだけだったんか」

「壁魔法で足止めできるのは変わらんくて良かった」

「俺も今度は殴ってみよ」


 しかし人数が多いな。いや、揺れが起きた時に中心付近にいた召喚者プレイヤーの総数を考えれば、まだまだいるのは分かってるんだけど。既に小部屋には収まってなくて通路にあふれてるし。

 その内通路もいっぱいになって、他の小部屋までいくんじゃないだろうか。なんて思いつつ、鎧付きモンスターが全部こっちに来るようになったという報告を端っこにいる召喚者プレイヤーから受けて、その辺の部屋から天井の穴を通り、次の階層に移動する。


「おっと。まず良い知らせです。部屋がとても広くなります」

「助かるわー(棒読み)」

「レイドボスが気遣ってくれたんかねー(棒読み)」

「次いで悪い知らせです。小粒のレイドボスステージボスサイズの鎧が3体待ち受けています」

「だろうな(納得)」

「そういや次で31階層目だっけ司令部?」

「大神官さんから聞いた階層数でいくと、そうですね」


 で。ひょこっと顔だけ出して、すぐ引っ込んでお知らせだ。うん。話が早くて助かるよ。たぶんそういう事なんだろう。

 まぁ逆に言えば、あれを倒せば脱出できるかもしれないんだから、ようやくって感じでもあるんだが。

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